◆あらすじ◆
第二次世界大戦前夜のイタリア、マルチェロ・クレリチはファシズム組織に加入する。そこには幼い頃に同性愛者に犯されそうになり、射殺してしまったことによる罪の意識が根底にあった。ある日、マルチェロに組織からパリに亡命中のクアドリ教授を調査するよう命じられる。教授と旧知の中であったマルチェロは妻のジュリアを連れて新婚旅行と称して教授との接触を図る。
◆感想◆
幼い頃のトラウマから普通であるためにファシズムに傾倒してしまった男の顛末を描いた作品となっており、主人公の優柔不断ぶりにイライラしながらも魅力的な女性たちの存在が作品への興味を最後までかき立ててくれました。
主人公のマルチェロ・クレリチ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は幼い頃に人を殺してしまったことがきっかけに罪の意識に苛まれていました。ストーリー中盤で教会で「普通になりたい」とマルチェロが吐露するところがあるのですが、当時のイタリアではファシズムが席巻していたことから、彼にとって普通とは「ファシズム」だったのかなと思います。しかし、彼にはファシズムは不向きで、見事なくらい腰抜けなムーブをしており、ずっとイライラしっ放しでした。
マルチェロの駄目っぷりを補ってくれたのが、マルチェロの妻のジュリア(ステファニア・サンドレッリ)とクアドリ教授の妻のアンナ(ドミニク・サンダ)でした。ジュリアはマルチェロをとても信頼していて、全面的に肯定してくれる稀有な人物であり、はっちゃけた性格ながら観ていて愛らしかったです。そして、アンナは教授の妻でありながらもマルチェロに魅惑的に迫ってくる謎めいた魅力があり、キャラクターとして華がありました。2人とも衣装が派手でダンス会場で全体を巻き込んで踊る様子は観ていて面白かったです。
ラストはやっぱりマルチェロは駄目だなあという感じでした。
あまり理解できていない面が多々ありましたが、なかなか面白かったです。フィルマークスで高評価なんですが、私は突き抜けるほどの面白さを感じられなかったです。
鑑賞日:2024年9月27日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
(録画日:2024年2月5日)