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暗殺の森の小のレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.0
大御所監督による名作らしいけれど、良く知らずに、機会に恵まれ劇場鑑賞。2回見た。「名作は寝る」という自分的法則通り、1回目は寝落ち。わからなくなるほど寝たつもりはなかったけれど、わからなくなった。

2回目でその理由がわかったかも。過去と現在を行ったり来たりしているのだけれど、その時間が繋がっているかのように上手く描かれているから。こりゃ、寝落ちすると見失うリスク大だなと。

しかし、じっくり見ることができれば、なかなか考えさせる内容のうえ、素敵な映像に、女性同士のナイスなダンスシーンといった見どころもある「名作」だということに納得。

少年時代の「異常」な経験によってトラウマを抱えるマルチェッロは「正常」に強く執着するようになり、自ら進んでその時代の「正常」であるファシストの道に進む。彼にとっての「正常」とは、その時々の多数派・体制派のことであり、要するに「長い物には巻かれろ」という心理が人一倍強いということらしい。

そのマルチェッロに、恩師であり反ファシズムのクアドリ教授暗殺の命が下る。教授の婦人が知性ある超美人で、演じたドミニク・サンダが日本で人気となるきっかけとなったとか。そんなだから「正常」を目指すマルチェッロにも迷いが生じ、ドラマが生まれる。

マルチェッロは優柔不断で卑怯な人間のように描かれる。でも、葛藤し、気持ちが揺れながらも結局は「正常」つまり「長い物には巻かれろ」に行きつくから、彼の卑怯な部分は少なからず自分にも…と思わせる感じになっている。

世界が排他的な風潮に流れつつある現在だからこそ、見る意味のある映画、ということかもしれない。

●物語(50%×4.0):2.00
・気を抜くと置いてきぼり間違いなしだけれど、じっくり見ることができれば面白い。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・女優さんが良かったかな。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・はっ、とするようなシーンがあった気がする。
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