キャッチ30

暗殺の森のキャッチ30のレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.2
時代は1938年のイタリア。第二次世界大戦の前年。マルチェロは子供の頃のトラウマから「正常」であることに固執する。幸せな結婚、ファシズムへの傾倒。また、卑怯者の面も持ち合わせている。

マルチェロは秘密警察の上層部から反ファシズムの男クアドリ教授を暗殺するように依頼される。クアドリはマルチェロのかつての恩師だ。マルチェロは新妻ジュリアを伴って教授が亡命しているパリに向かうが、そこで彼は教授夫人のアンナに出逢う…。

主人公マルチェロを演じたジャン=ルイ・トランティニャンの功績が大きい。トランティニャンは一人の男の悲劇性を見事に体現している。さらに、彼はアラン・ドロンやマルチェロ・マストロヤンニを思わせる格好良さと卑しさを兼ね備えている。今作で知名度を得たドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリの存在感も良い。

監督のベルナルド・ベルトルッチは一人の男の苦悩を芸術的センスを伴って描いている。官能的なダンスシーンは観ていて惚れ惚れするし、ハイライトである雪の森での暗殺シーンも忘れ難い。撮影監督のヴィットリオ・ストラーロと音楽のジョルジュ・ドルリューもこの映画に一役買っている。