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オフサイド・ガールズのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

オフサイド・ガールズ(2006年製作の映画)
4.1
イスラムの戒律から、女性が男性のスポーツを観戦することを禁止されているイラン。しかしそれでもスタジアムに行きたい!応援したい!と願う女性たちはいた。

2005年のイランvsバーレーン戦、2006年ドイツW杯最終予選。ここで勝てれば出場決定という大一番で、実際に撮影したらしい。だから会場周りの混雑ぶりや中の狂騒は本物!
アサディスタジアム、10万人入るらしくてなかなか巨大なんだけど、外壁がイラン国旗の緑白赤で塗り分けられてるのナショナルスタジアムらしくていいよね。

上記の理由で捕まえられた女の子6名。元々繋がりはない、バックグラウンドやキャラクターもバラバラの彼女たちが、会場のざわめきや試合の実況で一喜一憂するのは、サッカーサポーターとしては本当に親近感ありすぎる。
10年前に観たときは兵隊の子がかわいくて印象に残ったけど、今見たら煙草ふかしてる子が本当に身も心もイケメンでな…。あとトイレに行く女子サッカーの選手の子が好きになった。ずっともじもじしてる演技が真に迫りすぎてすっごくハラハラした。
出てくる選手の名前が、ダエイとかカリミとかマハダビキアとかザンディとか懐かしいw

「日本人の女の子は試合見れてたじゃない」「汚い言葉を聞いても意味がわからないからいいんだ」「トイレでは目を閉じろ、汚い落書きが書かれている」
台詞でもあるけど問題は汚い言葉でそれを控えるように指導するのが筋なのに、女性を排除する方向に行くのはおかしい。

この主張のおかげで、ジャファル・パナヒ監督は逮捕され、20年映画を撮影できない状況なのですが、それだけ政府には都合悪いことだし、「自由がないとはこういうことだよな…」と思ってしまう。日本なんて自由すぎるよ…雇用者と世間体と他者からの視線には不自由すぎるけど。

イランが先制したとき、隙間から観て実況していた兵士が瞬間隣の兵士とハグしたり、それを女の子たちが輪になってイランのチャントを歌うシーンがめちゃ感極まった。どんなに状況悪くてもクソみたいな試合でもモヤモヤしていても、ゴールと勝利があれば瞬間は忘れられる。
物語のベースとなる、「2005年の日本戦で観客が将棋倒しとなり、死傷者が出た事件」の犠牲者に捧げられたラストとともに忘れられないシーン。

半分くらいスタジアムの隔離場所のシーンで、そんな楽しい映画じゃないけど(今日観たのはNPOのイベントでしたが、数人いた観客も徐々にいなくなり最後私だけだった)、シリアスすぎずユーモアまじえた作風が好きな映画です。「明日へのチケット」のケン・ローチ編くらい好きなサポーター映画!

追記です。
先日のロシアW杯、イランvsスペイン戦。この作品の舞台アサディスタジアムでパブリック・ビューイングが行われましたが、その際女性の入場が許可され、1979年以来初めてイランの女性がスタジアムでイラン代表を応援できたらしいです。
試合には負けてしまいましたが、イランの女性には歴史的な夜でした!

#2018Russia
#2006Germany
#サポーターが出ている映画
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