プペ

ダークネスのプペのレビュー・感想・評価

ダークネス(2002年製作の映画)
3.1
40年前の少年少女7人失踪事件、皆既日食が近付くにつれおかしくなっていく父親、長女にだけやたら厳しい母親、知らぬ間に体に傷を作っている弟、頼れるのは医者の祖父だけ…。

近年稀に見る切な過ぎるラストと、美少年ながら″闇″を感じさせる子役のキャスティング、……そう見せる演出、そして人が持つ″見えないものに対する恐怖″を、″それが襲ってくる″と捉えたテーマの妙。


全ての真相が『完全な闇』の瞬間に現れる。

間違いなく″胸糞悪い″映画であることは間違いないだろう。
しかし、徹底的に救いのないあのラストを私は嫌いになれない。


ジャウマ・バウゲロという監督が、この映画で伝えようとしたテーマ性は分かる。
正体不明の″闇″に覆い隠された家。
闇の中に存在する確実な恐怖と、更にじわりじわりと染み出るように現れる人間の精神の中に潜む恐怖。
二つの恐怖に襲われた人間たちが、極限状態の中で見せる「行為」こそ、最大の恐怖であるということ。

ミステリアスなエンターテイメント風な映画世界の中で、じっとりとその「恐怖」についてのテーマを描き出した試みは、おそらく監督の意図通りだったのだろう。


人はもともと罪の落とし子であり、自ら作り出した″闇″に陥るものだ。

とはいっても、日本人には馴染みの薄い宗教話になるとため息が漏れる人も少なくない。
映画内で起こる異変の根拠になるものにキリスト教が絡めばもうお手上げ状態だ。
なにしろ、お寺の除夜の鐘で煩悩を祓ったあとその足で、神社に初詣に行くのが当たり前の八百万の神がおいでになる国に長いこと住んでいる身。
なかなか理解はし難い。

しかし、もともとこういう作品だという事を前提にみれば宗教モノにしては堅苦しくなく、エンターテインメントとして成立しており、展開自体はテンポ良く流れて行くので退屈な作品ではない。
プペ

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