Eike

スペルのEikeのレビュー・感想・評価

スペル(2009年製作の映画)
3.5
SONY/コロンビア映画で「スパイダーマン」の3部作を作り上げたサム・ライミが久々にホラー映画に回帰を果たした2009年の話題作。
原題は”Drag Me to Hell”と直球です。

さすがはベテランの底力。
数多の愚にもつかないホラー映画とは一線を画した出来。
「死霊のはらわた」や「XYZマーダー」を彷彿とさせるハイテンションな演出は健在です。

ただ、怖いか?と聞かれると正直言ってちょっと迷いますね。
物語は非常にクラシックな展開で「魔女の呪い」をかけられた女性が嫌というほど怖い目にあう訳です。
昨今主流の「ホラー」のように人が次から次へと悲惨な死を遂げる様を陳列するといったものではありません。
実際のところ流血シーンはほぼ出てきませんし、人もほとんど死なない。
そんな安直な描写が無かろうとも恐怖は描けるのだとライミ監督は言いたいのかも知れませんね。

しかし、流血はないと言いましたがその代わりとなるものはあります。
それは「ゲロ」それもタップリ(笑)。
はっきり言ってかなり「悪趣味」なシーンが多いのでその手のものが苦手な方はご注意です。
だが、その辺りこそライミ監督の真骨頂な訳でとても「巨匠」のやることじゃない気もするのだが思わずひきつり笑いを誘発されるようなシーンが満載。
そう、全編にブラックな笑いが散りばめられていて「恐怖と笑い」は紙一重なんだなぁと改めて再認識させられました。

ただし、理由はどうあれ「老人」に対する暴力シーンを見せられることやヒロインの性格や行動にいまイチ「親近感」が湧かない展開で、それが見ていてちょっとしっくりと来ない理由かも知れませんね。
とはいえパワフルな演出でゲロゲロな恐怖を楽しめることは確実(笑)です。
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