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トータル・リコールのDTAKのレビュー・感想・評価

トータル・リコール(1990年製作の映画)
3.8
【謎の喪失感がやってくる】

あー、これリアルタイムで映画館で観たら絶対に度肝抜かれて
自分、影響受けまくったんだろうなーという要素がたっぷりでした。
当時、観た人の興奮度合いが伺える。

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「たくさん見ている、たくさん知っている」という、
知識の量や経験の多さといった物量の〈強度〉が評論に必要だった20世紀に対し、
あえて「何を見ていないか、摂取していないか」という〈弱度〉の評論が21世紀に必要とされるのではないか。
今後は、「知っていることがアイデンティティー」ではなく、「知らないことがアイデンティティー」となる可能性がある。
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なーんて話をこの前聞いた後、

「では、自分は何を〈見てない〉のだろう」と自問した時、
この映画のことが頭をよぎった。

SFアクション界隈では《古典》扱いされているのに。
(顔が割れて中からシュワちゃんがコンニチワするのだけは知ってはいたけど)
(あとこのテーマ曲はなぜか聞きまくってた)

で、
予想通りというか、評判通りというか
実に良質なエンタティメントでした。
でも何だろう、この喪失感。
いや、普通にめちゃくちゃ面白いんだけども。

物語の構造もこれが夢なのか?現実か?というあやふやなところが良い。
さぞ考察を捗らせ、議論を呼びまくったんだろうなと。

また、当時はものすごく斬新だったんだろうな、という
色々なアイディアも詰まってて、まったく飽きさせない。
女性同士のカンフー描写とか、最強の離婚の捨て台詞とか。
乳が3つあるのは相当お気に入りなんだろうなー。
3回も出してきたあたりにそれを感じる笑

映像表現の総力戦みたいな体で。
ホログラムだったり、X線の描写だったり。
マットペインティングとか特殊メイクとか。

終盤の主役&ヒロインの減圧症ピンチがハラハラさせる。
顔をそこまで見せるか?!って(あ、やばい、この人たち死ぬ)
特殊メイクだとしてもギョッとしてしまう。

でも一番ビビったのは
火星で発生した大気が窓ガラスに迫ってくる合成映像だった・・・・
雲仙普賢岳の火砕流の映像を見ていたからか、
今の下手なCGより本能的な恐怖を感じた。

終盤のカタルシスがすごい。
閉鎖的で、暗く、赤い描写が続く場所から
最後のに出てくる舞台スケールの大きさ、
大気が解放され、青々とした空が映るところね。

でも、なぜかエンディングは切ないんだよなぁ・・・・なぜだろう。

あぁ、
これで『トータルリコール』を知ってしまったなぁ・・・。
DTAK

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