まぬままおま

ホームワークのまぬままおまのレビュー・感想・評価

ホームワーク(1989年製作の映画)
4.0
アッバス・キアロスタミ監督作品。

宿題をテーマに撮ったドキュメンタリー映画。

書き取り中心で、夜遅くまでやらないといけないほど量の多い宿題。
それを教える親も教育システムの変更やそもそも親への教育不足で、少ない。また教えることができないから体罰で子どもたちにやらせるしかない。
抑圧された子どもたち。その有り様をまざまざとカメラに収めている。

子どもたちは自分をよくみせようとするし、体罰をしても「愛する」親だから、体罰の実態や家庭環境をいいように語る/騙る。
その騙りを容赦なくカメラは記録してしまうし、だからこそ彼らが本心を言おうとするときは、真実が映し出されたように思える。

子どもは映画で真実を語る。そんな確信があるからこそ、本作が作られたのだろうし、『トラベラー』や『友だちのうちはどこ?』といった子どもが主人公の映画があるのだと思う。

映画をつくろうとして、子どもたちにインタビューする行為は彼らへの抑圧になり得る。泣き出してしまう少年のように。しかしそれでも聞こうとすることーそこには沈黙も含まれるー、それだけが子どもを抑圧から開放し、真実を浮かび上がらせる手法なのかもしれない。