あゆみ

お茶漬の味のあゆみのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
3.8
今更だけどちゃんと名作も観なくては!と自分を鼓舞し、小津4Kで初鑑賞。
ひたすら正面から語りかけてくる独特なカメラワークと、似たような台詞の応酬が退屈で、中盤までは睡魔との戦いだった。しかし最後10分くらいのメッセージが素晴らしすぎて、一気に前のめりで観てしまったよ。

「私たちが知ってる旦那様は、ほんの一部分なのよ。家の中では亀の甲羅を外した部分しか見てないけど、実は外では浦島太郎を背中に乗せたりいろいろやってんのよ」
「男の人で大事なのは、ネクタイがおしゃれとか、そういうことじゃないのよ。頼もしいかどうか。私なんて旦那様の嫌だったところ、今では全部好きになっちゃった」

ときに退屈で、尖った反応を求めて、途中で何が欲しかったのかもわからなくなって、優しさに甘えて、自分が嫌になるくらい不機嫌になったりすることってあると思うんだけど、
その優しさがどれほど貴重でかけがえのないものなのか、立ち返りたくなったときにおすすめです。
夫婦は、プリミティブな気安さがあるお茶漬けの味。
(フィルマークスで777番目!)
あゆみ

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