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お茶漬の味のleylaのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
4.7
描いているのは倦怠期夫婦のすれ違いと和解。大きなことは特に起きない、ささやかな日常会話の積み重ね。なのに没入できてしまう。

ローポジから撮る均整の取れた構図、カメラに向かって話しかける短いセンテンスのやりとり、何気ないおしゃべりかと油断していると時々出てくる刺さるセリフなど、観ている間じゅうずっと心地よい緊張感を強いられていて目が離せなくなる。

内容は、お見合いで結婚した育ちも価値観も違う夫婦が年月を経るうちにいつしかすれ違いばかりの日々に。でも、あることが起きて一緒にお茶漬けをすすることに…

お茶漬けのシーンがとても癒やされるひとコマになっていて、ジーンとしてしまう。
あぁ、しみじみとよかったなぁ。
なんだこの安堵感。
まるでこの映画こそがお茶漬けのようだ。

ノンちゃん(鶴田浩二)とせっちゃん(津島恵子)のラストシーンはまるでフランス映画のように素敵でした。
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