かげ

お茶漬の味のかげのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
3.9
 田舎の出身で庶民的で素朴な夫と容量の良いお嬢様育ちの高飛車な妻、熟年夫婦の関係を描いた作品。
 競輪、列車、タクシー、パチンコ、ラーメン屋、歌舞伎、様々な戦後復興期の光景は風俗史的な面白さがある。
 終盤の脚本にやや強引さがあると感じたが、調べてみると元々脚本は戦中のもので満洲で夫を出征に取られる話だったというから納得した。それでも、ラストの食事支度のシーンは印象的で「ムーンライト」をちょっと思い出した。料理はまごころなんやなって。
 これは映画とは直接関係のないところだけれど、冒頭出てくる修善寺の温泉は新井旅館という実際にある宿で、私は子供の頃親に連れられて行ったことがある。池が旅館の中庭のようになっていて、鯉に餌やりや食事の記憶がある。遠出はあまり好きではなかったが、いいところに連れて行ってもらったものだと映画を通してみると素直に思えるから不思議なものだ。
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