Yoshishun

名探偵コナン 天国へのカウントダウンのYoshishunのレビュー・感想・評価

3.9
"壊れてるのは元太くんですよ"

劇場版第5作にして、黒ずくめの組織が初登場。『純黒の悪夢』程ではないにせよ、相変わらずジンの無能さがわかりますね。

今回の殺人現場は富士山のみえる高層タワーマンション。珍しく鈴木財閥ではなく、小五郎の後輩の運営する施設でいつも通り事件が発生するのである。シリーズのお約束を覆すシーンがいくつかあったりと、5作目という節目に相応しい内容といえる。黒ずくめの組織だけでなく、灰原が重要人物、また小五郎は眠らずに推理したりする。加えて小学生とはいえ、恋をしたくなる年頃である少年探偵団内での恋愛も楽しめる。

また、インフレ化している近年の劇場版とは違い、コナンがちゃんと推理しているのも嬉しいところ。怪しすぎる人物(登場時に顔に影が入る、最初に疑われる)を排除すると、真犯人はわかりやすく、また動機もかなりしょうもないのだが、ミステリーとしての醍醐味はしっかり残っている。キャラ映画と化した近年の作品とは全く違い、単体の推理映画として楽しめるのは有り難い。

勿論、お決まりの映画ならではの超人アクションもみられる。蘭姉ちゃんの飛び降り、子供がスポーツカーを運転したりと、非現実かつド派手な演出は堪らない。

序盤の辛辣すぎる光彦の発言含め、名探偵コナンという作品だからこそのユーモアもあり、5作目にして以降のコナン映画のお約束を定義付けた記念碑的作品といえる。
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