あじむ

ダンサー・イン・ザ・ダークのあじむのレビュー・感想・評価

5.0
とてつもなく悲しくて、美しい作品。


遺伝性で徐々に目が見えなくなる病気をもつシングルマザーのセルマ。息子の目の手術日を稼ぐため、工場や内職で必死に働く毎日。周囲に助けられながら何とか生きるも、病気を理由に工事を解雇され、ためていたお金さえ盗まれてしまう……


こういう映画を作れる人を天才って言うんですかね。見事すぎた……セピア調の画に手持ちカメラかとも思えるふらふらなカメラワーク。視力を失いつつあるセルマの心を描いているのか、不安な気持ちにさせられ、物凄く引き込まれました。


残酷すぎる運命を生きるセルマ。そんな彼女の唯一の趣味がミュージカルでした。映画の中でセルマの空想を描くように、何度かミュージカルのようなシーンがでてきます。ミュージカルのなかでの彼女は、それはもう楽しそう。心引かれる歌と笑顔を何度も見せてくれます。それもあってか、より不幸なシーンが際立ち、悲しい気持ちに……。


特にI've seen it allを歌っている時のセルマはもう……ひたすらに美しいかった……


そして最後のシーン。心をえぐられるような、そんな辛いシーンであり、セルマの空想であるミュージカルの意味を理解させてくれます。あのラストは見事すぎる……映画のラストがこんなにも頭から離れないのはこれが初めてです。それほどに衝撃的。それもただインパクトが強いだけではなく、見事すぎました。ぼろぼに泣き、エンドロールで思わず拍手。



この作品は、とんでもない価値観と芸術性を持ち合わせているラース・フォン・トリアーと、異質ではありながらも素晴らしい演技力と、どこか悲しさを感じさせる歌声の持ち主であるビョーク。この二人だからこそ生み出せた作品だと思います。心から感謝。