kunico

ダンサー・イン・ザ・ダークのkunicoのレビュー・感想・評価

3.4
主人公のキャラクターを好きになれるか否かでだいぶ感じ方が変わるであろう一本。

セルマが自分の命をもってしても救いたかった「息子の視力」。
それは、ただ見えるようになれば良いだけではない、自分はこのまま何も手を施さなければ失明してしまうのだという事実さえも本人に知られてはいけない。
そういったことが精神的にストレスとなり、ストレスを感じると益々治りにくくなる病気だからである。

どんな窮地に立たされても、セルマは「息子は眼の手術が必要だ」と周りに告げようとせず、その結果彼女は絞首台へと足を進めなければならない展開へ。

思えば彼女は息子の手術の為にチェコから遥々アメリカへとやってきたのだ。
彼女の覚悟は計り知れない。

確かに不器用で、のろまで、決してしっかりしてるとは言えないセルマ。
それでも彼女の固い決意は最期の瞬間まで貫かれる。

自業自得と思われても何らおかしくない、感情移入も中々しづらい主人公だけど、一人の強い女性の生き様には涙が伝う。
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