がんびーの

ダンサー・イン・ザ・ダークのがんびーののレビュー・感想・評価

4.6
映画を観たあとに吐いたのは初めて。

言葉では形容しがたいこの感情。怖い、グロい、後味が悪い、恐ろしい。なんかどれもしっくりこない。ただ、観なきゃ良かったとは思わなかった。むしろ僕をここまでの感情の境地に追い込んでくれたことに感謝している。

今作は鬱映画、胸糞映画として名を馳せている名作である。後味が悪い映画の評価は低くなりがちだが、視聴者をそこまで映画に引き込んだという点では高く評価していいはず。

悲惨な結末を迎える映画や、グロテスクな内容な映画に対し「こんなの作んない方がいい、現実世界で真似するやつがいたらどうすんだ」と言う人がいる。じゃあ逆に、ハッピーエンドの御涙頂戴映画ばかり流せば世の中は良くなるのか。実際なってるのだろうか。そんな作品で現実逃避して浮かれるより、悲惨な映画を観て、今自分が生きている幸せを実感する方が生産的なのではないだろうか。

今作も、これは道徳的にどうなのよ…ってくらい悪い方向にことが流れる。またそれが幸せいっぱいイメージのミュージカルとして。現実の状況が悪化すればするほど、妄想の中で広がるミュージカルシーンは輝きを増していく。気分が悪いなんてもんじゃない。でも実際、世の中そういったことだらけなのかもしれない。お前の責任だろと理不尽に押し付けられることも、純粋な人ほど利己的なことも、どんな良い人ばかりのとこにも悪い人がいることも、結局救えないことも、どれも十分あり得ることだ。

この映画そんな人間の裏側を美しく繊細に描いている気がした。ある意味これが本質なのかも。