10000lyfh

ダンサー・イン・ザ・ダークの10000lyfhのレビュー・感想・評価

2.0
チェコスロヴァキアから米国に移民したシングルマザーのセルマ(ビョーク)が,意図せず殺人犯にさせられ,死刑に処せられるまでを描いた,手持ちカメラとジャンプカット多用の異色ミュージカル.誰得な苦痛に満ちたこの作品に,ビョークの才能は無駄使いとの思いが強い(よく出演したなと思う).序盤のセルマの,仕事や育児や趣味のミュージカルに励み,友人にも囲まれ,貧しいながらも楽しく生きる様子はとても素敵.続く悲劇は現実にあり得る話なのでまだしも,その後の収監生活から死刑の瞬間までの長々とした描写が苦痛.部分的に良い点は多々ある.何より,セルマの白日夢を映像化した,群舞を伴う 6つのミュージカルシーンは,音楽もダンスもクォリティ高い(ただ,最初の 2曲,工場と線路のシーンは,場面に幻想的な歌と群舞がフィットしているが,殺人に見える事件の現場,逮捕,裁判,執行当日の処刑場への移動,の 4曲は,その場面でミュージカルやらなあかんの?な腹立たしさを感じた).ルックス的に地味ながら歌唱力の高いビョークはセルマ役に完璧な配役,演技も良い.ドヌーヴを筆頭に脇役陣の演技も素晴らしい.雑にも見える手持ちカメラやジャンプカットは,友人がスマホで撮ったかのようなリアル感を出しているが,これは演技レベルや全体のプロダクションクォリティが高いからこそ生きたと思える.冒頭タイトル前の推移する抽象画のような映像にも何かの意味があるのだろう.総じて,ラースや周辺の映画作家たちが追求してきた映画表現の 1つの到達点なのだろうが,別の内容だったらその表現も広く受容されただろうと思わされる