しゅう

しとやかな獣のしゅうのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
4.3
日本映画専門チャンネルにて鑑賞。

かつての日本映画の優れた喜劇は総じてテンポが良いが、この映画はその中でも飛びっきりハイスピードのブラックコメディ。

新藤兼人の素晴らしい脚本の上で、いずれ名うての芸達者達が次々と繰り出す見事な舞い。

若尾文子と伊藤雄之助の切れ味は言うまでも無いが、感心したのは山岡久乃演じる妻のキャラクター。

「渡鬼」に代表される様な古風で貞淑な妻の立ち振る舞いのままで、この欲と嘘に塗れた家族を甲斐甲斐しく取り仕切る姿には唸らされる。

あと、この前田一家の造形は必ずやポンジュノ監督の『パラサイト』に何らかの影響を与えたに違いない。
しゅう

しゅう