しとやかな獣の作品情報・感想・評価

「しとやかな獣」に投稿された感想・評価

ngsm

ngsmの感想・評価

-
DVDにて

去年履修した映画の授業でオープニングだけ見て、劇伴が実験的すぎて度肝抜かれた作品。2017年に見てもかなり新鮮

団地に住み、家族ぐるみで人を騙して金を集めようとする家族と、その被害にあう人と、その家族から更に金を奪おうとする人が集まるブラックコメディ

若尾文子をはじめ、登場人物の一筋縄じゃいかない感じとトリッキーな演出が頻繁に飛び出すので、団地の一室からほとんど外に出ることがないということを忘れてしまうほど飽きないで見てられる。
戦後の貧困を繰り返さぬために、息子・娘を使ってアコギに稼ぎ、私腹を肥やす一家を、終始団地の中だけで描き切る、天才的な一作。

延々と限られた空間の中で台詞の応酬が続くので、一見すると舞台のように見えるが、人物の動きに呼応するように、キャメラは突然フカンになったりアオリになったりと変化に富んでいて、仰天するほかない。

赤い空をバックに踊り狂う場面や、暗転してスポットライトが当たって台詞を吹き替える舞台演出、夕闇の中で能楽が流れ、文明にも風情がいるのか、などと夫婦が語り合う場面など、ともすれば鈴木清順のようですらあるまるで古さを感じさせない演出が多々見受けられる。

ラストの山岡久乃のアップは、20年後の「家族ゲーム」のラストで室内をさまよう由紀さおりに繋がっているようだ。

団地の一部屋を舞台に、人が入れ替わり立ち代りストーリーが進んで行く、ブラックコメディ。

登場人物のほとんどが欲にまみれていて、それを自覚している。クセの強い登場人物たちが織りなす茶番(←褒めています)がとてもシュールで面白い。

派手な演出はないのだが見ていてついつい引き込まれてしまう。絶妙な間の使い方が見ている人に色々と考えさせてしまう。



wkm

wkmの感想・評価

4.5
みんな嫌味なく勝手に、嫌味なく悪意を隠さずに部屋を共有する。その本当らしさがこのラストに向かうことのリアル。なんといえばいいのだろう。距離を詰めてゾッとする。山岡久乃がベランダから部屋のなかを見る。あの目は静かに狂っている。
たいし

たいしの感想・評価

4.4
胸糞悪いクズ達のお話、ではあるけどもラスト20分大好きだった。欲に溺れて、傲慢で、自己中心的でまさしく高度経済成長に向けて進む日本人の嫌な所を皮肉った作品だとおもう。カットが団地からほぼほぼ出ない実験的な映像もとても面白いし、何よりアイロニカルなシナリオと台詞。シナリオは新藤兼人なのか…すごい…。
自分の趣味もあるけど、こういうブラックコメディ大好き。
Nishmarra

Nishmarraの感想・評価

3.7
熟年夫婦がなぜか自宅のリビングを質素に見せようと、ああだこうだ言いながら家電や上等な絵画をせっせと横の部屋に押し込んで隠そうとしている、かなりワクワクするオープニング。
隠し撮りをしているかのようなカメラアングルから次々と打たれるショット(グループショットがめちゃくちゃ多い)と、軽妙ながらもトチ狂った会話の応酬。全然時代を感じひんかった、良い意味で。

印象的な長い階段でのモノローグはそこを往来する各キャラの心情を再確認する作業でしかなくて、そこから浮かび上がる新事実みたいなものもなくあまり冴えてなかったように思う。

ほんでおれ伊藤雄之助好っきゃわ〜。
8/5/2017

ものすごく良くできてるなあ。セリフも多くひたすらまくし立てるような勢いが飽きさせないし、第三者が見切れるようなカットも面白い。そして何より若尾文子が美人すぎる。少し深キョンに似ているように見えなくもない。図太く生きたい。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

4.0
2010/4/16鑑賞(鑑賞メーターより転載)
「悪人がひとりも出ない」映画はたまに観るが「全員悪人」というのは珍しい。一般的な親子かと思わせておいてとんでもない曲者一家という設定で、周囲の人間含めて見苦しいエゴ丸出し(特に裏金をせびるくだりには爆笑!)。なおかつそれをローアングルの引き画、物越しの風景、登場人物が極力複数映るアングルで見せているので、悪人たちの所業を極めて客観的に嘲笑するかのように覗き見する感覚になる。舞台が狭いアパートの一室からほとんど変化しないのにこれだけ抑揚をつけて見せられるのは、脚本と演出の完成度の高さあってこそ。
邹启文

邹启文の感想・評価

4.3
前半凄すぎ、映画史に残る
>|