美しいラブストーリーを連想させるジャケからは想像出来ない重厚な人間ドラマだった。
メビウスの輪とでも言うべきか3章からなる物語が循環してゆく構造はとても一度では理解出来ない難解な作品でもあった。
マケドニアの田舎町を舞台に静かに進んでゆく序盤なんかは全くと言って良いほど理解が追いつかない。
舞台がロンドンに移り意図するところが見え始めたあたりからは一気に引き込まれた。
民族間紛争の根の深さ、今尚進行形で起こっている世界の現実を目の当たりにするとやはり言葉がない。
争いが争いを生む、例え家族であっても、、、
日本に於いては到底想像に難く、けれどもこの抜け出せない連鎖を、または血で血を洗う憎悪の循環を断ち切る術は一体どこにあるだろうか、、、
ヤギの出産シーンをはじめ多くのメタファー達がより難易度を増幅させ、タイトルでさえ奥深い暗示とも取れる描写の数々を更に深く理解出来た時改めてこの作品の秀逸さに気付けるであろう可能性を充分感じる作品だった。
また必ずいつか観たい。