けーはち

赤ちゃん泥棒のけーはちのレビュー・感想・評価

赤ちゃん泥棒(1987年製作の映画)
3.8
コンビニ強盗常習犯&元婦警のカップルが不妊だから赤ん坊を他人の家から盗んで逃げる。髪がある頃のニコラス・ケイジと、後に『ピアノ・レッスン』でオスカーを獲るホリー・ハンターが主役。コーエン兄弟の出世作で軽快かつ滅茶苦茶なクライム・コメディだが、主人公達の命を狙ってくるのは1人『マッドマックス』の世界から出てきたようなワイルドな風貌で死を運ぶ天災のごとき賞金稼ぎだけで、それ以外の登場人物はスラップスティックに暴れるだけの平和にハシャげる親しみやすい映画。そのマッドマックス男の断末魔の泣き顔や、脱獄囚2人組の泥から這い出て来るシーンなど、随所に赤ん坊や出産のメタファーを差し込んで、最後には不妊夫婦が自分の実子にこだわらずとも育てあげた子々孫々に囲まれるイメージを夢想し、「何だよ、良い話にしやがって」と言いたくなる綺麗なまとめ方をしている。