みおこし

赤ちゃん泥棒のみおこしのレビュー・感想・評価

赤ちゃん泥棒(1987年製作の映画)
3.8
コーエン兄弟初期のブラックコメディ。皆さん口を揃えて、「ニコラス・ケイジが髪があった頃の作品」と書いていらっしゃるのがおかしい(笑)。

前科者のハイは、婦人警官のエドと恋に落ちてハイの出所後に結婚する。しかし、エドは不妊症で子供が持てない。前科があるために養子も引き取れず絶望した2人は、地元の有力者ネイサン・アリゾナの家で五つ子が誕生したというニュースを見て、彼の赤ん坊の一人を誘拐するのだが...。

まさにコーエン兄弟そのもの、ウィットに富んだ脚本とどこかブラックユーモアな笑いは当時から完成されていたんですね。
サスペンス要素はほぼ皆無なので、コーエン兄弟の手がけた『ファーゴ』『ノーカントリー』よりも、『オー、ブラザー!』『ヘイル、シーザー!』が好みの方にオススメです。

強盗に失敗して夜道を疾走するニコケイのシーンが個人的にお気に入りなのですが、これはいかにも昭和感漂うレトロさ。シュールな笑いがあったかと思えば、こうした往年のチャップリンやバスター・キートンを彷彿させるドタバタコメディの要素もあって、コーエン兄弟が追求する笑いの奥深さに思わず唸ります。次々と笑いの刺客を仕掛けてくるから本当に油断ならない!(笑)
生真面目すぎてすぐ号泣しちゃうエド役のホリー・ハンターの演技も最高ですが、本作のMVPは紛れもなくジョン・グッドマン!ゾンビもびっくりの、まさかの地中から出てくる登場シーンに始まり、事あるごとにひたすら絶叫しまくりの怪演っぷり。他にも車のUターンシーンなど、久々に涙を流して爆笑してしまいました(笑)。

ラストは少しホロリとなる描写もありつつ。決してグロテスクでもないので、コーエン兄弟作品入門にはぴったりの一本です!
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