風の旅人

そして、デブノーの森への風の旅人のレビュー・感想・評価

そして、デブノーの森へ(2004年製作の映画)
3.5
覆面作家のダニエル(ダニエル・オートゥイユ)は義理の息子の結婚式に向かう船の中で、絶世の美女ミラ(アナ・ムグラリス)と出逢う。
一目見た瞬間に心を奪われたダニエルは、ミラと一夜限りの関係を持つ。
翌日結婚式に参加したダニエルだったが、何と花嫁はミラだった。

冒頭の討論会のシーンで、ダニエルは一人の女性を見つめる。
するとその女性は夫に男性を紹介し、夫が席に着く暇を盗んで、男性とキスを交わす。
そしてその最中にダニエルに視線を向ける。
ダニエルはそれを文章にして書き留める(「姦婦の瞳は不安と喜びの間で揺れていた。目撃されることで奇妙な興奮を覚えるらしい。その興奮が生きがいのようだった」)。
作家は他人の人生を目撃し、それを作品にする。
作中出てくる「作家は他人の人生を盗む」という言葉。
作品を書いたのは盗んだ方か、それとも盗まれた方か?
作品を両者の共作と考えるなら、作家は「亡霊」のようなものかもしれない。

前半はダニエルとミラの情事を描いた恋愛ドラマ、後半はダニエルの盗作疑惑を描いたミステリー・ドラマとして楽しめる。
そして惜しげもなく裸体を披露したアナ・ムグラリスの美しさに酔い痴れる。
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