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おおかみこどもの雨と雪のbutasuのレビュー・感想・評価

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
2.0
別に悪くはないけど特に心に残らない、むしろ中途半端な現実描写のせいで気になる点が多すぎていまいち集中できない話。子育てとか子供のアイデンティティとかがテーマだから、その手の話が好きな人には刺さるのかも。

ファンタジーにしてはリアルに生活感を出そうとするので、中途半端なリアリティの無さがいちいち気になってしまいノイズだった。死んだ旦那の貯金だけであんなに何年も暮らせる(しかも移住までして)って、どんだけ貯金あったんだ。引っ越しのバイトしてただけの男だぞ。ああ見えてめっちゃおじさんだったのかな。まぁ声がおじさんだったもんな。大沢たかお微妙だったなぁ。畑で自給自足の件もさすがに女ひとりで無理がありすぎだし、子供二人を養うのに給料が高校生の時給よりも安い仕事を選ぶのはさすがにどうかと思う。やりたい仕事を選んでいる場合かね。その割にこの話は終始一切の貧乏描写がない。節約やお金のやりくりといった描写もない。当たり前のように家を修繕し農耕具を買い揃えジュースを飲んでおやつを食べて二人分のランドセルと立派な学習机を買う。田舎暮らしって素敵だね楽しいね皆が当たり前のように親切だねうふふふふ。甘ったれた気持ち悪い世界観。これなら中途半端にお金の話なんか出さずに、大量の遺産を手に入れたとかにしてほしかった。

児童相談所を出したりするのもそう。一瞬出てきただけでその後は一切登場しないし、中途半端なリアリティ描写はこの世界観の不自然さを増すだけだというのがどうしてわからないのだろうか。そもそも大学生の分際で子供ができちゃったから休学という時点で計画性ゼロなのに、そのまま二人目を作るってどういう神経なんだ。子作りをわざわざ狼形態に変身してやるなよ人間の姿でやれ何のマニアックなプレイだ。これだけ様々な栄養食品が溢れているのに、わざわざ野生動物を狩りに行ってあっさり命を落とす旦那。リスクを考えろよ無責任が過ぎる。っていうか狼の死体ってそのままゴミ収集車に入れるの?免許があったということは戸籍もあるはずだけど、死亡して色々な処理は大丈夫だったの?子どもたちは幼い頃一度も病院に行かなかったの?そんなこと現実に可能なの?というか最後弟は山に帰ったけど、やっぱり戸籍上どうなってるの?というか急に子供一人いなくなったら明らかに怪しくない?あの子はどうして豪雨の中で母親を駐車場に置き去りにしたの?せめて屋根のある家まで連れ帰ってやれよ死ぬぞ。

映像はさすが。田舎描写、森描写は素晴らしい。常に小虫がブンブン飛んでる感じとか、とてもリアルで感心した。子供の動きや表情の描き方も細部に渡って丁寧で素晴らしい。ただ定期的に本棚を映す演出はあざとすぎて鼻についたな。

ラストは子供二人それぞれの自立を描きたいのだろうが、母親は弟のことばかりで、なんだかバランスが悪く感じた。姉の方も家を出て寮に入る日の描写とか入れてほしかったなぁ。
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