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おおかみこどもの雨と雪のplantseedsのネタバレレビュー・内容・結末

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

『自分の世界を見つけたんだ』

細田監督3作目。
未来のミライ公開記念、過去作品を振り返り鑑賞しています。
この作品が個人的には、一番胸に来る、心の底にグッとくるものを感じます。
エンターテインメントを根底に置きながらも、非常に映画的な内容感あふれる作品。

実家が、作中の家族の家と似ていて本当に田舎の、山の中にあるので、特にこの作品は感じることが多いです。
都会と比べて山の中には何もないけれど、だけど、生きていくうえで、これほど豊かさを与えてくれて、全てがある場所は他にないのではと思います。

それと大事なのは、おおかみこども抱えるに故、
誰かに協力を仰ぎにくい、孤独な存在として、母の花は描かれますね。
孤独を抱えながらも、たくましく生きていこうとする彼女に励まされる人もいるのではないでしょうか。

中盤の子供たちと、花が雪山を駆け巡るシーン。
「きときと - 四本足の踊り」が流れ、本当に雪山を駆け抜ける、
その喜び。本当に美しいシーンで、楽曲も本当に素晴らしく、
いや~、これは参ったと、劇場で見たときに思いました。鳥肌もの。
もう一回劇場で、この感動を体感したい!

実際に子育てを経験したことはないので、おおかみこどもを育てる葛藤は理解が及ばない部分がありますが、
親の視点で、自分が子供だった頃を想像し、子育ての大変さを感じれます。
子供にとって、親の視点を体感できるのも映画の魅力だと思います。

子供たちが、「狼としてか、人間としてか」
どちらの道で生きていくのか。
それぞれの答えが見え始め、本当は望んでいたことなのに、
母の花はなぜか不安になる。

本当に望んでいたことなのに、いざ実現が間近になると急に不安がこみ上げる。
あれ、これは自分の本心ではないのかと思うことってありますよね。
人生の新しい場面やステージに上がるとき、必ずこの瞬間があるのかなあと思います。
だけど自分の思い、それは正しくて、これはある種の通過儀礼なのかあと思いました。

子供が、親の元を離れる瞬間。
その瞬間の感動や、感情を見事に描き切っている印象。
最後の、花と雨の別れの時。
あそこの感動は細田作品名場面ベスト10に入れても!
というぐらいの、ベストシーンだと勝手に思っています。

子供がいつの間にか、成長し、大人になり、自分をはるかに超えるぐらいたくましくなった。
未来のミライにリンクするものもありますね。
それを心の底から花はそれを感じた。
親にとってこれほどではない、感動の瞬間はないのではないかと思います。これこそ本当の親孝行なのかなあと。

これからも、節々で見返していきたい作品。
本当に大好き。ありがとう細田監督。
長々と付き合っていただきありがとうございました。
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