OASIS

おおかみこどもの雨と雪のOASISのレビュー・感想・評価

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
1.0
何もかも薄っぺらい。
これで感動する人は間違いなく本当の子育てをしていない。
奨学金をもらいながら通う大学生が何の計画性もなしに子作りをするはずがないし、狼男の貯金がいくらあってもあんな暮らしはできない。
さぞ良い大学に通っているのだろうと思ったが、将来を考える頭があれば自分から怪しげな男にモーションをかけたりしないだろう。

田舎への幻想や女性への幻想を膨らませすぎてリアルさに欠けるし、ほんのちょっとのリアルな部分をファンタジー強めの作画で誤魔化しているだけ。
しかもそのリアルと思える部分でさえご都合主義で、全てが彼女の為にうまく回っているような世界が気持ち悪い。

声優を使わず俳優を起用している所にも、ジブリへの嫉妬がありありと見える。
もしこれを宮崎駿や高畑勲が作っていたなら、綺麗事ばかり描かず必ずに冷徹な目で世間の残酷な現実を突きつけるような描写を入れるはず。
醜いものすら受け入れて逞しく現代を生き抜く花の力強さを描いたはず。
細田守という人は、そんな汚くて醜いけれどリアルを描くには一番大切なものを排除して、綺麗な部分しか見ないようにしているに他ならない。
「こういう綺麗な話を描いていれば、満足してくれるんでしょう?」というやらしい魂胆が見える。

そもそもを言うと狼である必要も無い。
「世間からのはみ出しもの」としてのメタファーだとしてもそこに込めるメッセージがあまりにも浅すぎて、その設定を活かしきれていない。
親離れ子離れの話としても狼という設定が無ければ極普通の物語。
これを全く同じプロットでアニメではなく実写で作ったなら、日本で量産されつくした純愛とは名ばかりの薄っぺらい映画となんら変わらないだろう。
それほどまでに狼である必然性が感じられなかった。
ただの思いつきで描いたのだろうか?
浅い。浅すぎる。
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