天津甘栗

アレキサンダーの天津甘栗のレビュー・感想・評価

アレキサンダー(2004年製作の映画)
3.9
長すぎる尺と物議を醸す英雄アレキサンダー大王のキャラクター像によって、世間の評価は低く、ゴールデンラズベリー賞にノミネートされた本作。
エモい歴史スペクタクル映画が大好物の私にとってはお気に入りの一本です。

10数年間に渡ったアレキサンダー大王の東方遠征。3年余りで大国ペルシアを手中に収めるのだが、アレキサンダーは取り憑かれたように終わりなき遠征へと突き進み続ける。自身や兵が心身共、満身創痍に至るまで。
彼を駆り立てるものは一体何なのか。名声への渇望か、神話への挑戦か、トラウマからの逃避か、新たな世界への底知れぬ興味か。はたまた人種の融合と調和というグローバリズムに目覚めた先進的な価値観の持ち主だったのか。
アンソニーホプキンス扮するプトレマイオスが過去を回顧し、その物語を語ります。

隻眼の荒くれ王ヴァルキルマーと蛇女アンジーという強烈な両親のもとに生まれたアレキサンダー。純粋が故に両親それぞれの呪縛に捕らわれ、コンプレックスを抱きながら成長します。
やがて父に代わり王となったアレキサンダーは、己の果てしない目的のために忠実な家臣たちを散々振り回し、時には処刑するなど、冷徹非道極まりない暴君のような振舞いを行います。
一方で慈悲深く、仲間の死に心を痛め、過ちを犯した時にはそれを後悔して葛藤する人物。そしてタレ眉。
私はそんな人間臭い本作のアレキサンダー像が好みです。こんな上司について行くのは絶対に嫌だけど。

アレキサンダーがバイセクシャルだった事を前面に押し出した描写もリアリティがあって良いです。アレキサンダー大王は織田信長を彷彿とさせるところもあり、日本史と共通項があって面白い。日本でも平安時代〜江戸時代まで男色は尊いとされてましたしね。
ただ、この稀代の英雄をバイだとはっきり表現した事は本作が酷評された大きな要因。若きコリンファレルとジャレッドレトーのカップルという、超絶萌え萌え要素であるにも関わらず…!

戦象軍の圧倒的なパワーを映像でお目にかかれる点も好評価ポイントなのです🐘
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