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スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲のtakのレビュー・感想・評価

4.8
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今後ともよろしくお願いします😊

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初公開の1980年に地元の映画館で観ているのだが、当時中坊の僕は単発の映画として歯切れの悪すぎる結末に唖然とした。続きがどうなるのか、結末を目にするのにどれだけ待てばいいのかと悶々とした。情報が欲しくて仕方ないから、パンフレットは隅々まで繰り返し読んだ。ルーカスが過去の映画人に敬意を払っていること、出演者のプロフィールもわかった。でもそこに至るあらゆる映画の面白さの理由と、スターウォーズ 続編の情報が知りたい。その年の12月の大晦日。僕は初めて映画雑誌に手を出した。

「帝国の逆襲」は不思議な作品だと思う。前作同様に、公開された時点でそれ以前に観たことがないものだらけだ。雪上で迫ってくるAT-AT。俳優と共演するマペットにこんなに感動するなんて。それでも単独の映画として見ると、冒頭に述べたように娯楽映画の痛快さはない。それなのに、シリーズの中での位置づけや背景を知れば知るほど面白くなる。今回改めて観たけれど、観た年齢で反応してしまう場面が変わる。

それは、第2作が娯楽映画だけでなく、壮大なサーガとなるにふさわしい深みが添えられたからに他ならない。第1作から向上した技術、人物描写やシリーズ本筋の重要なドラマ部分がこの作品にあること、ルーカスのド直球な台詞とは違う味わい深さと表現がある脚本。そして、単独の映画として見て凄いのは、新展開と新たな登場人物がこんなにもたくさんいるのに、本筋がブレないこと。ローレンス・カスダンの脚本は見事。「帝国の逆襲」の成功がなかったら、後のスターウォーズ 人気はなかっただろう。

Wikiによると、アービン・カーシュナー監督は、「スターウォーズ 」を撮るにあたって、「画面を人々の顔で満たしたい。これにまさる娯楽はない」と述べたとか。言われてみると、状況説明に終始する第1作に対して、第2作はクローズアップが多い。雪原でルークが襲われる場面、ハンとレイアのキスシーン、ベイダーがマスクをつける前をチラ見せ、空中都市でC3POがトラブルに巻き込まれる場面、真実を告げられて絶叫するルーク。人物とフレーム内のわずかな背景だけの映像は、人に迫っているだけに他の情報がない。だから台詞とシーン、彼らの心情がきちんと観客の心にも残った気がする。カーシュナー監督のそうした演出がなければ、カーボン凍結前の「I Love You」「I Know」もここまで心に響かなかったかもしれない。

旧三部作のラストとなる次のEP6はもう戦うしかない展開なので、見せ場をどう撮るかに主眼が移る。それでも「スターウォーズ」シリーズが派手なドンパチ映画だと語り継がれていないのは「帝国の逆襲」が果たしたドラマ部分の役割が大きい。

壮大な物語はどこを切り取ってもドラマティックだし、魅力ある脇役もたくさんいる。それが今やどっかの企業さんの飯の種にされちゃってるのが、ちょっと悔しいんだけどさ。まあそれもビジネス、ビジネス。

2022年11月、ウン十年ぶりに再鑑賞。鑑賞記録は初回を記す。
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