サマセット7

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲のサマセット7のレビュー・感想・評価

4.0
スターウォーズシリーズ公開順第2作目。
作中時系列では5番目のエピソード。
製作総指揮は前作監督のジョージ・ルーカス。
監督は「ネバーセイネバーアゲイン」「ロボコップ2」のアーヴィン・カーシュナー。
主演はエピソード4から6までの三部作を通してマーク・ハミル。

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。
前作の戦いから3年。
ダース・ヴェイダー卿率いる帝国の反撃は凄まじく、反乱軍は氷雪の惑星ホスに秘密基地を移設。
反乱軍の中には、ルーク(ハミル)、ハン・ソロ、そしてレイア姫の姿もあった。
やがて若者たちは、帝国の侵攻をきっかけに、再び宇宙へと飛び立つが…。

前作ほどではないが、世界的に大ヒットを記録。
アカデミー賞2部門受賞。
現在においても評価が高い、エピソード4から6までの三部作の第二作。

前作の監督業の激務(主に人間関係)に疲れ果てたルーカスは製作総指揮に回り、監督はアーヴィン・カーシュナーに交代。
その結果か、前作に比べて演出のメリハリがつき、印象に残るシーンが増えたように思う。

物語の軸は2つ。
1つは、オビ=ワンの幻影に導かれ、ジェダイ・マスター・ヨーダの元を訪れるルークのジェダイの騎士としての修業。
もう1つは、帝国やソロを狙う賞金稼ぎの執拗な追跡をかわす、ハン・ソロやレイア姫らの一行の冒険である。
やがて2つのストーリーは交錯することになる。

今作の注目ポイントの一つは、名匠ジョン・ウィリアムズによる音楽だろう。
もちろん前作時点で、アカデミー賞を受賞した彼の音楽は至高の域に達していたのだが、今作においては、ついに映画史上に残る名曲「帝国のマーチ」を投入。
♪てーいこーくはーすーごくーつよいー♪
ダース・ヴェイダーの外観のインパクトとも相まって、「悪の化身、現る!!」というケレンを、音楽と立ち姿だけでこれ以上なく表現し尽くしていて見事だ。

暗黒卿ダース・ヴェイダーは今作でも相変わらずの存在感を見せつける。
それにしても「フォースのダークサイド」というパワーワードを思いついたジョージ・ルーカスは天才という他ない。
謎めいたその言葉には、何となく使ってみたくなる中二的魅力がある。

ダース・ヴェイダーは、殺陣シーンのみ、今作からスーツ・アクターを変更。
もったりしていた前作と比べて、ライトセイバーを使った斬り合いに、段違いの力強さを加えている。

今作からの新キャラクターの中では、ジェダイマスター・ヨーダのインパクトが強い。
外見上はアレだが、実は、というパターンにはある種のカタルシスがある。
飛行船のシーンは、忘れ難い名シーンである。

名シーンといえば、ハン・ソロの「I know…」
と、クライマックスでダース・ヴェイダーがルークに真実を投げかける場面は、まさにシリーズ屈指の名シーン。
これらのシーンが象徴する、驚きの結末の連続が、今作の名作たる所以であろう。
無論、いずれの展開も、三部作完結編である次作へのフリになっていて、三部作の第二作としてお手本のような作りになっている。

今作のテーマは、若者が自己のアイデンティティーと対峙し、苦悩する、という点にあろうか。
ヨーダとの対話しかり、洞窟での試練しかり、クライマックスの対決と真実の暴露しかり。
ハン・ソロもまた、原罪というべきジャバとの因縁に対峙せざるを得なくなる。
レイア姫は悪漢ハン・ソロとの関係性に、貴人として、あるいは1人の女性として、どう向き合うかの岐路に立つ。

歴史的三部作の、理想的な第二作。
なお、相変わらず、愉快な一行の珍道中的描写は楽しい。
特にC3POのずれたコメントは、比較的シリアスな今作に、明るくコミカルな味わいを加えていて、バランサーとして秀逸である。