イチロヲ

反撥のイチロヲのレビュー・感想・評価

反撥(1964年製作の映画)
4.0
ロンドンにて姉妹で暮らしている多感な少女(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、性観念から生じる焦燥と鬱憤を過敏に感じ取ってしまう。性意識の処理方法が分からない少女の奮闘劇を描いている、サスペンス・スリラー。

「女らしさ」で自分を着飾ること、そして男を好くこと(男に好かれること)とは、一体どういうことなのか。たった独りで煩悶する主人公が、男との放蕩を繰り返す姉を反面教師(または刺激剤)にしながら、人間の性行動に対して嫌悪を滾らせていく。

映画的に面白くするための過剰演出が目立っており、随所で笑いを誘われてしまうけれども、周囲に反発を覚えるのは誰しもが経験する通過儀礼のようなものなので、性別問わずに「あるある感」を禁じ得ない。

カトリーヌ・ドヌーヴの鬼気迫る演技と緩急自在に迫り来るホラー演出の相乗効果。観念的なサイコ・スリラーと思春期のラブ・ロマンスを力業で掛け合わせているところに、最大の醍醐味がある。
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