今回はマドンナとの恋よりも、お殿様との友情、信頼関係がメインだったようだ。
寅さんが夢の中で演じていた鞍馬天狗といえば、お殿様を演じた嵐寛寿郎の代表作であることを、観終わって知った!
そんなところに往年の名優への敬意が示されていたとは。
家族が、寅さんのプライドを守ろうとしたのに怒ったり、またトラと犬に名付けただけで怒ったり。
面倒くさいと思ってしまうけれど、やはり寅さんは最高なのである。
何にもわかっておらず、ズケズケと踏み込むからこそ、寅さんは余計に偉い人にも気に入られてしまうのかもしれない。
三木のり平さん演じるお殿様の執事と、寅さんの掛け合いなんてコントそのものでおかしかった。
寅さんの不器用だけど唯一無二な優しさにぐっときて、相変わらず子供みたいで頑固なところと純粋さに「全くもう…」と思いながらも、見届けたくなる。
少しジーンとくる感動はあるものの、だいたいはやはり笑いで構成されていて、特にラストには笑わざるをえない、ひとしおコメディさがひきたっていた。