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悪魔の植物人間のくりふのレビュー・感想・評価

悪魔の植物人間(1973年製作の映画)
3.0
【ジャック・カーディフのあっけらかん】

70年代土曜昼下がりの東京12ch、がよく似合う、うら寒き被り物ホラー。

が、監督は、撮影監督としてはすんごい人のジャック・カーディフ。何故、こっちの道に彷徨ってしまったのかはよくわかりませんが、まっすぐな人なので、まっすぐにB級ホラーとして仕上げています。

が、被写体ばかりをまっすぐ見つめたせいか、全体のトーンはちぐはぐで、肝心の植物人間より、実在フリークスの皆さんに目を奪われてしまうのです。

ドナルド・プレザンスが、要は人間も光合成できたらごはん要らないよね、というコンビニな動機で植物人間を創ろうとする、マッド菜園ティスト。で、妖怪人間ベムな動機で彼に協力する男が、実験用お姉さんを調達します。

いかにもですが、いきものがかり男がフリークショーの座長、いうのが妙味。実験自体が、二人の間では鬼畜なビジネスモデルとして成立してるんですね。

本作の企画者は多分、単純に見世物としてフリークスを出したのでしょう。で、監督はそれを、ショーの観客リアクション含め、まっすぐ撮っちゃった。だからフリークショーの場面は、鏡を見るような気分になってしまいますね。

訓練などで獲得したらしい特殊技能は、わりと楽しめちゃうんですが、先天的な奇形や病気をそのまま見せられると、どう受け取るよオレ、となる。

でも目玉おじさんはスゲエ!ホントに眼球飛び出ます。3Dなんて目じゃない。

あっけらかんとしていても、実在フリークスが絡むと冷酷さに転ぶようで、かえってどす黒く感じます。原題『THE FREAKMAKER』もどす黒いよなあ…。

カーディフさんのまっすぐさというのは、所詮、映画は見世物で始まって、見世物で終わるんだよ、という冷徹な視線なのでしょうか。…ちゃうか。

さらに!この実在フリークスの皆さんでしんみりしているところに、失敗した福笑いみたいなひょっとこ植物人間出てきて、はらほろひれはれ。CGもない時代だけどさ、ショッカーの怪人クラスはヤメテほしかったなー。

んが!ジュリー・エーゲさんのおっぱいが、立ち直らせてくれるんです!お姉さん中、一番の美人が一番サービス濃厚です。ビバまっすぐな視線!

物語としても、人体実験だから必然性あるヌードで、説得力ありまくり。ジュリーさんは『原始人100万年』にも原始ガールで出演しているそうで、『恐竜100万年』ラクエル姐さんの姉妹に当たりますね。これも見たいぞ。

カーディフさん的には、これで監督やめました、な結果となったようですが、70年代土曜昼下がりの東京12ch気分、を味わうため作られた映画ですから(今決めました)、それを求める人は(計30人位?)、堪能できると思います。

<2012.7.3記>
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