PeggyMYG

悪い種子(たね)のPeggyMYGのレビュー・感想・評価

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)
3.7
町山智浩さんの著作で知ってからずっと観たかった作品。

ローダ役の子役の演技が大人顔負けの上手さ。子供ならではの自己愛と、成熟した女のような立ち居振る舞い、目つき。
不気味さがじわじわ来るというよりは、むしろアッパレなほど全てにおいて正直で達者。
描写がオーバーなので人格障害として突き放して見られるけど、罪を犯さないまでもこういう傾向タイプは周りにいなくもないですね。程度の問題で。

自分の過去に不安を持つエピソードにたっぷり時間が割かれていてる母親を始め、ローダを中心に大人たちが振り回されている感じ。
なかでも被害者の母親の庶民的なやさぐれ感、小柄な夫とのノミの夫婦感は味があって良かった。

使用人とローダが邪悪な者同士合い通ずるものがあるというのも面白かったし、結局はすべてにおいてローダが格上だったという結末は小気味よくもあった。(あれ?私サイコパスローダに肩入れして見てた?)

有名なエンディング付け足しシーンの違和感は唐突過ぎてまさしく雷級の衝撃だけど、「あれ?これ誰だっけ?」という役まで登場しての和気あいあいカーテンコールは案外しっくりきた。
全体的に舞台の雰囲気があるからかな。

ヘイズコードの功罪か、忘れられない作品だった。
満足満足。
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