少年を殺害した8歳の幼女が、狡猾な立ち回りを見せながら、母親の猜疑心を煽っていく。ウィリアム・マーチの同名小説を映像化している、サイコ・スリラー。
「幼女の殺人行為」という衝撃を据えながら、家族の信頼関係が揺らぐ恐怖を描いている作品。打算的な言動で煙に巻いてくる幼女、殺人者の血筋を憂えている母親、幼女の秘密に肉薄する使用人。この3すくみが、ドラマを牽引していく。
「そうそう、子供のこういうところに恐怖を覚えるよなぁ」という大人目線の共感性が刺激させられるが、その一方で「どうせ、自分の言うことなんて信じてくれないくせに」という子供側の言い分にも同調できてしまう。
登場人物が、大げさにギャーギャー喚き立てるのは、舞台版のキャスト陣が起用されていることが原因。衝撃度を抑えてあるラストは、ヘイズ・コードの存在を察するべし。原作準拠のラストは、1985年度のリメイク版で観ることができる。