つるみん

フリーダム・ライターズのつるみんのレビュー・感想・評価

フリーダム・ライターズ(2007年製作の映画)
4.0
映画として伝えるべき事を役者の演技と台詞によってハッキリ伝えられている作品。カメラワークのテクニックや驚くべき演出がある訳でもないのに、その1つ1つのシーンがしっかり目に焼き付いてあって心に刻まれる。まさに内容(実話)だけで惹きつける力を持つ良作。

主演は一応ヒラリー・スワンク。新米の国語教師として203室のクラスを持つ事になったのだが、その教室内が既にユナイテッドステイツ。いろんな人種がいる中で、差別や貧困に対して真摯に向き合い、歴史(特にホロコースト)を振り返り、生徒自身の生き方を見つめ直し、導き出す。

そこで出てくるのが題名にもなっている『フリーダム・ライターズ』。それは生徒たちが日々の思った事、感じた事をそのまま記すノートの事。生徒に〝自由〟を〝夢〟を与える教師というとやはり『いまを生きる』のキーティング先生が思い浮かぶが、それに類似する。
生徒と教師が本音でぶつかり合う所はお互いに〝成長〟できるチャンスであって、その後のお互いの変化を楽しむのもまた良い。
で、一応主人公はヒラリー・スワンクと書いたが本当の主人公は生徒たち。だから『フリーダム・ライターズ』という題名であって『エリン・グルーウェル』(教師の名前)ではない。たしかにヒラリー・スワンクを中心に話は回っているが、その教師か生徒かの焦点比重が非常に難しかったと思う。バランスが取れてない部分もあったが、それでも123分で3人くらいの生徒に着目してそれぞれを掘り下げたのは凄い。

ただエリン先生にずっと頼りっぱなしというのもどうなのだろうか…。先生に対する生徒からの信頼が厚いのは分かる。ただ今まで学んだ事や教えてもらった事は先生が居ない所で初めて発揮されるのに。

ここが『いまを生きる』との大きな差。
ま、そこは実話なので何とも言えないが。
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