荒野の狼

必殺仕掛人 梅安蟻地獄の荒野の狼のレビュー・感想・評価

必殺仕掛人 梅安蟻地獄(1973年製作の映画)
3.0
1973年公開の「必殺仕掛人」の劇場版第2作であるが、本作からTVシリーズ「必殺仕掛人(1972-1973年)」のレギュラーの緒形拳、林与一、山村聰、津坂匡章(まさあき、後に秋野太作に芸名を変更)が出演しているので、TVシリーズのファンにはお勧め(林の役どころは異なるが)。作品の展開はスローであるが、終盤からは緊張感が高まり、仕掛け人シリーズの見せ場である殺しの最終場面の満足度は高い。敵役は登場した時から悪役とはっきりわかる佐藤慶と小池朝雄が、これ以上ないはまり役。小池は刑事コロンボの吹き替えで人気俳優になってからは悪役は減ったが、「刑事コロンボ」がNHKで本格定期に新番組として始まったのが1974年の「黒のエチュード」の回からである。
女優陣では、松尾嘉代が光るが、1943年生まれであるので公開時は30歳の若さだが、緒方と小池を手玉にとってしまう艶やかさ。ストーリー上は、鍵を握る存在になりうる位置にあるのだが、今一つ、生かされなかったのが惜しい。
ちなみに本作では銭湯で男女が混浴している場面がある。本作の舞台は江戸時代で、銭湯は江戸からはじまり、当時は混浴であったので時代考証としては正しい。時代劇で混浴の銭湯が登場するユニークな作品である。
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