留

007/カジノ・ロワイヤルの留のレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(1967年製作の映画)
2.2

昨日見たクレしんの《新婚旅行ハリケーン失われたヒロシ》同様、とっ散らかり過ぎて焦点が定まらない。おふざけが過ぎてかえって笑えない。
笑えるとこもある。ウッディ・アレン(デヴィッド・ニーヴン 初代ジェームズ・ボンドの甥っ子)が実は黒幕で、世界中に細菌を撒き、全女性を美女に変え、身長140cm以上の男性は殺すという性的コンプレックスからボンドと闘っている。このシークエンス、当時のウッディ・アレンの情け無さがすごくリアルでかなり笑える。
ピーター・セラーズのカジノでの物真似は誰を真似ているかが分からないので笑えなかった。デボラ・カーが登場するシーンのスコットランド訛りも英語話者には面白いのだろうと想像される。
綺羅 星の如きスター達がバカをやってるが、ピーター・オトゥールが一瞬出た時は「こんなのに出ないでよ!」と言ってしまった。ジャクリーン・ビセットはクレジットではジャッキー・ビセットだった。軽い扱いされてたの?
印象的だったのはバート・バカラックの音楽。いかにも軽いノリで『この映画を真剣に見ちゃダメだよ』と教えてくれている。冒頭のライオンがたくさん出るシーンでは《野生のエルザ》〜『ボーン・フリー』(ジョン・バリー作曲)が臆面もなく流されるし、B・バカラックの”The look of love”はかなり頻繁に、“What’s new pussycat?”も一瞬聞かれる。
ベルリンのシークエンスでは表現主義っぽいセットや色使いが面白かったが、それ以上にこのセットの女主人が《チキチキバンバン》のボンバースト男爵夫人、アンナ・クエイルだったこと。並居るボンド・ガール以上に俺好みはこのおばさんだっていうことに気づいた。
IMDbによるとこの映画、6人が監督し11人が脚本に参加している。ウッディ・アレン、ピーター・セラーズはさもありなんだが、ビリー・ワイルダーやベン・ヘクトまで書いているようだ。船頭多くして船アララット山に上ってしまった好例だろうか?
2時間11分版だったが、ぶった切られているように思う。
ピーター・セラーズがスポーツカーに乗り込んだのに、カーチェイスがない。
一応、これ以前の《007》映画は見ていると思ってたが、もう一度見返して、ダニエル・クレイグの新作も見なきゃだなと、ますます見るべき映画が増えてしまい、見る時間がない人生の黄昏時である。
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