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JAWS/ジョーズのpanpieのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
5.0
また一つ大好きな映画館が私の住む街から消えました。
とうとうシネコンが二つ、小さな映画館が一つだけになってしまいました。
シネコンでは決して上映しないB級作品やアニメ作品が数多く上映され、好きな人には堪らないラインナップであまり激混みじゃなくゆったり観ることが出来る大好きな映画館でした。
一番映画を観に私が通った映画館だったと思います。
昨年は「カメラを止めるな!」で連日見たことのない程の混雑ぶりが記憶に新しく、他の映画を観た私がパンフを買いに窓口に近寄れず後日買うからとそのまま帰ったものの後日は売り切れだったエピソードも確か「ウィンドリバー」のレビューで書いた様に思います。
今となっては懐かしい思い出となりました。
「カメ止め」で普段はガラガラなこの映画館も潤って潰れる事はないと安心していたのに…
潰れた訳じゃなかったけどビルの所有元が老朽化の為売却したそうで、思ってもみなかった結末に映画館だけに映画の様な本当の話になってしまって、本当に驚きました。
街中で再建を目指したそうですが映画館を建てられる様な場所がないそうで、再建のめどは立たず今日を迎えたそうです。
残念で仕方ありません。
とても悲しい…(;ω;)

過去の上映作品が先月から上映されていて、何度も観ている大好きな作品を劇場の大スクリーンで観たかったのですが、昨年から親の病気や息をつく暇もないと言ってもいいほどの仕事と家事に日々追われ、メンタルをやや病んでいました。
この間ペースは落ちたものの映画を観に行っていたのに前程のめり込める作品が少なく、自分の感性が鈍っていた事に気付いていました。
映画を観に行くペースか落ちただけじゃなく、何よりフィルマに向き合う気になれず文章が書けなくなってしまいました。
何ヶ月も放置していたのにいいねをたくさんにいただいていて、フィルマの通知音が鳴る度に皆さんのレビューを読まなくちゃ!と思っているのです。
でもとても変な感覚ですがアプリを開く勇気が正直なかったのです。
今もまだそうなのですが、今日は大好きな映画館の最終日だったので、重い腰を上げ久しぶりに観に行ってきました。

子供の頃に記憶がある映画館で観た最初の映画が「JAWS」でした。
どうやらうん10年前に子供だった私は今と形態が違っていましたがこの映画館で今作を観たようで、壁に貼られた新聞の切り抜きによって今日わかりました。
地上波で幾度となく上映された今作の展開は全て覚えていましたが久しぶりに観た今も新鮮で、スピルバーグの脂の乗った時期の作品の勢いを改めて噛み締めました。
子供の時にはおじさんしか出てこない映画に面白かったものの「スターウォーズ」程のめり込まなかったのですが、黒のセーターをインして細身のジーンズに黒ベルトをしたロイ・シャイダーって今見るとカッコよかったんだなぁと改めての発見もありましたし、初めて観た時は子供の視点で怖がり大人になって観た今日は襲われてしまった男の子のシーンなど母親目線でウルウルして観たり、自分の感想の違いに気付いた事も面白かったです。
泳ぐ人をサメ目線で水中からの映し次第に迫っていくカメラワークに今観てもドキドキしたし、登場人物の描き方が素晴らしくて今作は人間ドラマとしても傑作だったんだなぁと感じました。
サメと幾度も格闘してきたクイントやサメの専門家フーパーの経験と知識を持ってしても倒せなかった巨大鮫を、泳げなくて海に恐怖心を持っている警察署長ブロディがボンベに命中させ倒すラストの「Smile !」と叫ぶところは何度も観ているのに痺れました。
ブロディは人命より利益を優先する市長のみならず、最初は専門家のクイントやフーパーの指示に従うばかりで自分で倒す気持ちは毛頭なかったのに、二人が死んで(フーパーは何とか逃れて無事でしたがブロディは死んだと思っていた)いざ自分が殺さなきゃならない状況になって初めて困難に向かっていくその姿勢に今の私自身と重ねて観ていました。
私も逃げちゃダメだなあと背中を押された気持ちになりました。
奇しくも初めて観た映画館で初めて観た映画に大人になった今教えられ停滞していた気持ちが少し上を向きました。
そういう意味でも今作は忘れられない映画となりました。
映画って本当にいいものですね。
そして私も一歩一歩また前に進んで行こうと胸に誓いました。
素晴らしい映画をたくさん観せてくれて、今迄本当にありがとう、ディノス!
再建される事を心より願っています。
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