Tラモーン

JAWS/ジョーズのTラモーンのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
4.3
ここ最近映画に凝り出した会社の後輩に熱弁ふるってオススメしてたらめちゃくちゃ観たくなっちゃったので5年ぶりの鑑賞。
当時のレビューがサッパリしてたので再レビューします。いいねくださってた皆さんゴメンなさい。


アメリカ東海岸の穏やかな町・アミティ島でビーチパーティをしていた若い女性の死体が浜辺に打ち上げられる。赴任して初めての夏を控える警察署長のブロディ(ロイ・シャイダー)はサメの襲撃と判断し、海水浴場の閉鎖を訴えるが、夏の観光収益を失うことを恐れた市長は事件をスクリュー事故として揉み消す。その数日後、海水浴客で賑わうビーチに再びサメが現れ1人の少年が犠牲となり、アミティの人喰いザメの存在が知れ渡り懸賞金がかけられる。懸賞金を求めて全米からハンターが押し寄せるが、島の変人プロハンター・クイント(ロバート・ショウ)と、ブロディの依頼によって島を訪れた海洋学者フーパー(リチャード・ドレイファス)はこの襲撃が並大抵のサメによるものでないことを予見する。


何回観てもやっぱりすごい映画。2時間ずーっと全然飽きない!
持論として「サメを画面に出し過ぎないサメ映画は名作(サ名作)」だと思ってるんだけど、サメ映画の元祖たる本作はまさにそれに尽きる。
というか、今作以降雨後の筍のように作られた「サメを描くことを目的としている(クソ)映画」を「サメ映画」と定義するならば、『ジョーズ』を「サメ映画」として括るのはもはや失礼だ。

この映画の素晴らしい点は「恐怖やパニックを描く手段」としてサメが使われていること。なんたってとにかくサメが出てこない。犠牲者は続々と出るのに、始まりから1時間経ってもサメの全貌が全然見えない。なのにめちゃくちゃ怖い。いや、だからめちゃくちゃ怖い。

特に2人目の犠牲者となるアレックス少年が襲われるシーンの巧さたるや。海中から海水浴客たちを映す視点と、無作為なようで1人1人の顔を観客に刷り込むように画面を切り替えながら海水浴客たちを映すカメラワークで、今度襲われるのは誰なのかと緊張感を煽る。そして観客の集中力が切れかけたころ突然上がる血飛沫と、一瞬見える巨大なヒレ。パニックになる海水浴場からの一転、静まり返ってから映し出される破れた浮き袋。
サメそのものを画面に出さなくても、演出の力でサメの恐怖を描くことができることを証明した名シーン。

桟橋でのサメ釣りや、難破船の探索、2度目の入り江での襲撃でも出るか出るかと思わせておいて、それでもサメの全貌は見せない。
姿形が見えるものよりも、得体の知れないものに恐怖心を抱く人間の心理を突きながら、スリラー/ホラー要素をメインとする前半に対し、後半サメとの戦いを描く海洋アクションへの展開も飽きさせない巧さがある。

サメ退治をメインに描く後半は、変人クイント船長、血気盛んなフーパー、ちょっと堅物なブロディの3人のオルカ号の乗組員たちのバディものとして、開放的な海上の画面と合わせてガラっと雰囲気を変えてくる。クイントが缶ビールを握り潰したのを見て、フーパーが紙コップを握り潰すシーンなんて完全にギャグ。
ヒモ結び方講座なんかやってる穏やかな雰囲気から一転、カラカラと鳴り出すリールに表情を引き締めサメとの対決にゆっくりと備えるクイント。まさに緊張と緩和。

一旦は取り逃した後、ブロディがウダウダ言いながら餌撒きをしていると突然!ここまで引っ張ったのが嘘のようにあっさりと姿を現す巨大なサメ!こえええ!デカい!7mくらいっていうリアルな生物感のあるサイズが怖すぎる。

"船が小さい"

サメが襲ってくる物理的な恐怖と、サメに打ち込まれたタルの浮き沈みで姿を見せずに表現する不気味さのコントラストでまったく観客を飽きさせない静と動のジェットコースター的な演出も痺れる。

戦いっぱなしでなく、サメが時折どこかに逃げていくっていう緩急の付け方も絶妙で、怪我自慢大会からのクイントの壮絶な戦争体験話で3人の仲が深まるのも作品に深みを持たせている。

そして畳み掛ける最終局面。楽天的で強気だったクイントが次第に追い込まれて苛立ち、冷静さを欠いていく様が緊張感をさらに煽る。
いよいよピンチとなったときにそいや使ってなかったやんけ!とばかりにオリ登場も、本当の伏線はそこじゃなくてまさかの酸素ボンベ…。
もったいぶりまくりの前半からは想像もつかないほど映画的カタルシスに溢れるラストシーン。CGのない時代だからこその生々しい迫力はこの時代だからこそ。バタ足で帰る2人が可愛い。


いやいや、スピルバーグこれを28歳のときに監督してるってどゆこと??!?

あのサメつくりものって本当かよ。今見てもめちゃくちゃ怖いよなぁ。CGじゃあの生き物感は出ないんだろうなぁ。

そしてジョン・ウィリアムスの劇伴も素晴らしい!かの有名なテーマはもちろん、後半のアクションシーンで流れる冒険心を駆り立てるようなBGMも前半/後半の印象を変えるのに大きな役割を果たしてるよね。

ダブルミーニングな"早くしないと夏が終わってしまうぞ"がとても印象的だった。


あ〜、久しぶりに観たら凄すぎてレビュー長くなり過ぎました!ごめんなさい🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️🦈


======以下2017/4/30レビュー======

久々の鑑賞。

やっぱり今観ても怖い。
前半はサメの姿をほとんど見せないのに、存在をこちらにチラつかせる演出が凄い。
観光客で賑わうビーチのシーンは、無作為なようで一人一人ある程度顔が覚えらようにカメラを次々と切り替え、今度襲われるのは誰なのかと緊張感を煽る。

後半、海上でのバトルでもサメが襲ってくる派手なシーンと、姿を見せずタルの浮き沈みだけで表現される不気味さとで全くこちらを飽きさせず、静と動のジェットコースター的展開を作り出している演出は本当にお見事。

やっぱりサメ映画の始祖で最高峰はこれ。
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