yukihiro084

JAWS/ジョーズのyukihiro084のレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
4.8
いつだか世界の名作を読んでみようと思い、
車輪の下や、罪と罰や、カマラーゾフやら、
変身やら、ライ麦畑やら、読んでいた
時期があった。挫折したものもあったし、
理解が出来なかったものもあった。
その中で一番印象に残っているのが、
ヘミングウェイの(老人と海)だった。
読む前の印象は、フロリダの穏やかな
気候の中、老人が静かに穏やかに
海と生きてゆく、みたいな
スローライフ的な話だと勝手に思っていた。
読んだら違ってビックリした。
命と命のぶつかり合いの話だった。
老人と大魚の何十日に及ぶ死闘の話だった。
文学と呼ぶには、ぶっきらぼうで無骨で、
どんだけ太いんだよってくらい骨太で、
どんだけ硬いんだよってくらい硬派だった。
笑っちゃうくらい薄っぺらいその本は、
とんでもなく(分厚かった)。

僕の中では、(ジョーズ)と(老人と海)は
非常に近いところにある。
もう、テレビで観たか、ビデオで観たか、
覚えてないけど、遙か昔の記憶だ。

(ジョーズ)も、
アミティの海水浴場のシーンや、
有名な若い女性が襲われるシーンが
よく知られているので、
動物パニックものとしての印象があるが、
この映画の本質は、中盤以降の(死闘)
にあると、僕は思う。
巨大なサメと、3人の男たちとの死闘。
命と命とのぶつかり合い。
やるか、やられるかのシンプルな構図。
自らのバックグラウンド。
復讐心。矜持。凄み。覚悟。経験。知識。
生き物としての本能。勝ってやる。
生きてやる。という強い意志。
そう言う一切合切を賭けた、ぶつかり合い。

その魂のぶつかり合いがあって初めて、
観る者の心は、震えるんだと思う。

どんなにVFXが進歩してもだ。
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