サンヨンイチ

JAWS/ジョーズのサンヨンイチのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
3.5
本当に恐ろしいのは
人を襲う狂暴粗悪なサメではなくて
利己主義に駆られることによるトップの判断低下と
危機意識よりも目下の楽しさに目が眩む
民衆の学習能力の低さですよね~。

ジョーズしかり、
ディザスター映画やモンスター映画は
名作であるほどに
時代その時時に現れる災害や社会問題に
当て変えられる印象があります。
むしろどの時代にも当てはまる作品こそ
不朽の名作になる、という
まあ言ってみれば至極当然の流れなのかもしれません。
これ以降のモンスター映画に
明らかに影響を与えたと言われている作品で
逆にジョーズを意識しないで映画を作ることのほうが
難しいように感じます。

サメ映画としての傑作と言われつつも
実は政治的、経済的な思惑によって
どんどん悪化していく状況が現代にも通ずる悪質さであります。
サメが出ているのに、
経済を回さなければならないという理由で
サメの恐ろしさを隠蔽する市長。
今の日本に住んでいればこの市長の考え方も
何となく理解でき、一理あるんじゃないかと思ってしまいます。
さりとてさりとてサメが出てるんです。
その恐怖は正確に、力強く、説明する必要があるんです。
エメリッヒの大統領よろしく大演説をしないといけない場面で
そんなシーンもなく、その後に市長が反省している様子もなく、
結局因果応報も見られないのです。ここが結構怖かった。

アニマトロニクスのサメの臨場感もしかり、
整理整頓された人物関係の見やすさしかり、
YouTubeに挙がっている評論を見聞きするだけでも
関心させられることがたくさんある作品です。