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第十七捕虜収容所のkyokoのレビュー・感想・評価

第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)
4.0
今まであんまり食指が動かなかったビリー・ワイルダー。

やだ、おもしろーい!

ドナウ川近くにあるドイツ軍第十七捕虜収容所第4兵舎。
アメリカの下士官だけが集められたその兵舎では2人の捕虜が脱走を試みるも、待ちかまえていたドイツ兵にあっさり射殺されてしまう。
「さてはこの中にドイツ軍へ情報を流しているスパイがいるのでは?」
そんな疑惑が囁かれる中、中尉のダンバーが一時収容されてきた。
彼は直前、ドイツの軍用列車を爆破していたらしい……


第十七捕虜収容所にいる捕虜、その数600人超!
こんな人数コントロールするのは大変そうだなあと思ったけれど、ジュネーブ条約で捕虜の人権が守られていることもあってぜんぜん殺伐としていない。所長も兵舎担当の太っちょ看守も憎々しさはあまりなくてむしろ捕虜からバカにされてる風。
捕虜たちのそれぞれのキャラも良かった。特に女好きアニマルは風貌が完全に「変なおじさん」と化しているけれど、仲間に対する情の厚さもある男。戦争で心を病んでしまったジョーイへの優しさが沁みたな~
収容所ニュースを運ぶお兄ちゃんもなにげにいい味出てる。
他にもいろいろあるけどネタバレになっちゃうのでここまで。
あ、セフトンの「ロシア女用シラミ駆除小屋を覗くための望遠鏡(蒸気で曇って何も見えないので想像するだけ)」は個人的には傑作だと思う。

密通のカラクリがあきらかとなったスパイとの対峙は、クリスマスとともに佳境を迎える。
「外で会っても知らん顔しようぜ」のあとのウィンクつき敬礼に身もだえた。
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