るるびっち

世界の中心で、愛をさけぶのるるびっちのレビュー・感想・評価

世界の中心で、愛をさけぶ(2004年製作の映画)
2.0
世界の中心で叫んでいるのは、愛ではなくて愚痴である。
蛇足が長すぎて、上映時間2時間20分。
蛇足に蛇足を足した蛇足足足映画。ムカデか?
一応『ロミオとジュリエット』にひっかけている。
ロミジュリは、手紙が届かなかったことで運命が変わってしまう。
しかし本作では、伝言のカセットテープが届かないせいで運命が変わるわけではない。
大人になっても高校時代の恋人の死を引き摺っている男が、彼女のテープが20年越しに渡されたお陰でスッキリするというだけの話。
引き摺り男を立ち直らせたのは、死んだ彼女のメッセージ。
死んだ後まで面倒見の良い、完璧彼女が長澤まさみ。
死んだ後まで厄介になるなよ、世話を焼かせすぎだろう。

つまり、難病で亡くなる切ない恋がメインではなく、
恋人の死を忘れられないグズ男が、最後スッキリするという映画。
それに2時間20分付き合わされるのは勘弁。
観てるこちらは、全くスッキリしない。

この構成、そもそも疑問だった。
白血病で亡くなる後半の悲劇を引き立てるには、前半は二度と戻らない青春の輝きやバカバカしさに満ちていないと効果的ではない。
バカバカしくて、どうでもよくて、下らなくて、後悔だらけの青春が弾けていればこそ、取り返せない時間の切なさに後半の悲劇が生きて来るだろう。
なのに大人になった引き摺り男の回想から始まるので、最初から哀しみが滲んでいるのだ。
それは、ノイズに感じる。

結局、ポイントが「悲劇の恋のいきさつ」ではなく、
「恋人を失った男の未練を断ち切る話」だから、大沢グズおで始まるのだ。
そんなのより、オーソドックスに二度と戻らぬ青春のきらめきと悲しい恋で良かった!!
凝った作りではなく、蛇足にしか思えない。
世界の中心でグズ男の後悔や愚痴よりも、「愛」を叫んで欲しいのだ。
看板に偽り有り。
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