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パルプ・フィクションのうえののレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.6
異なる時間軸で交錯する3つのストーリーを描いたクエンティンタランティーノ監督長編2作目にして以降の彼のキャリアを決定付けた作品。

順行通りでないややこしい作品構成、ありそうでなさそうなストーリー、ハッピーなのかバッドなのかよくわからないラストなど一見すると「よくわからない」という感想がこれほどあてはまる作品もないと思える内容。
しかしその「よくわからない」話の展開や「意味のない」会話や台詞回しの連続が段々クセになっていき、さらには随所に描かれる様々な映画やドラマでオマージュされたり、パロディ化されたりした元ネタシーンに気づくことで、映画好きにはたまらないまさにスルメ映画として何度も楽しむことのできるクエンティンタランティーノの映画愛とオタクぶりが爆発した初期の名作といえる。

前作にして処女作の『レザボアドッグス』の冒頭ではマドンナの『Like A Virgin』が巨根の歌であるだとかチップを出す出さないなどの強盗前の集団とは思えないほど全く緊張感のない「無駄話」を繰り広げていたが、今作ではアメリカとヨーロッパではハンバーガーの呼び方が違うだのツイストコンテストに出場してトロフィーを獲得するだの先代が尻の穴に入れてまで隠し通した金時計の話など全くストーリーに必要のない「無駄話」が随所に登場し、以降のタランティーノ作品の特徴とも言える「無駄話」の会話劇の手法が確立された内容に仕上がっている。

154分もの長尺の中でアクションシーンや劇的な展開が起こるわけではない為、好き嫌いは出るとは思うが、こういった作風で四半世紀以上の時が経ってなお定番の一本と位置付けられている辺り、シネフィル達が語らずにはいられない魅力に溢れている作品なのだと思う。
まだ駆け出しのサミュエル叔父貴の気合いが入り過ぎて少し過剰に思える演技や一見ダサいが時代もあってかどこかクールに見えて、四半世紀の時を経てやはりダサいのではないかと思えてくるミアとヴィンセントのツイストダンスなどに是非注目してもらいたい笑。

最後に『シャイニング』や『タクシードライバー』級にオマージュやパロディの元ネタとなっている作品なので、影響を受けたであろう作品を羅列しておきたい笑。
だいぶ忘れてしまったのも多くてうろ覚えだと思うが、少しずつこれらを増やしていくのも今後の楽しみである。

◎ツイストダンス
・ドラマ『共演NG』のOPで中井貴一と鈴木京香が踊る
・indeedのCMで斎藤工と泉里香が踊る

◎クーンツ大佐からの金時計
・『キングスマン』の冒頭でハリーから父の形見を渡される幼きエグジー

2015年05月09日(土)1回目
2019年08月13日(火)2回目 U-NEXT
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