アドルフ・ヒトラーの最期の12日間を克明に描いた実録ドラマ。
ヨアヒム・フェストによる同名研究書及び、ヒトラーの秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と回想録「私はヒトラーの秘書だった」をもとに、オリバー・ヒルシュビーゲル監督が映画化。
原題:Der Untergang(意味は、失脚、没落)、(英)Downfall (2004)
1942年11月、トラウドゥル・フンプス(結婚後の姓がユンゲ)(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、ミュンヘン出身でもあることから、ヒトラーの私設秘書として採用される。
1945年4月20日、ソ連軍はベルリン近郊に迫り敗戦は決定的に。
愛人エヴァ・ブラウン(ユリアーネ・ケーラー)や、ヨーゼフ・ゲッベルス/宣伝相( ウルリッヒ・マテス)ら最高幹部たちは官邸の地下要塞に避難。
幹部らはベルリン脱出をヒトラーに進言するが、ヒトラーは逃亡や降伏を拒絶して徹底抗戦を主張。300万の市民を退避させることも拒否。
ヒトラー56才の誕生祝賀パーティー。
4月22日、ヒトラーはひたすらソ連軍への攻撃命令を出し、自国軍が攻撃能力を失っていることを説明する将軍たちを罵倒。その後、この戦争には勝てないと語る。
4月23日、判断能力を失ったヒトラーに"総統権限の委譲を要求する"電報を出したヘルマン・ゲーリング/ 国家元帥・空軍総司令官( マティアス・グネーディンガー)の全権限剥奪と逮捕命令。
4月26日、西側への降伏申入をしたハインリヒ・ヒムラー/親衛隊SS長官(ウルリッヒ・ネーテン)の逮捕命令と地下壕にいるヒムラーの代理人へルマン・フェーゲラインSS中将/ エヴァの義弟(トーマス・クレッチマン)の無情な処刑。
4月29日未明、ヒトラーと愛人エヴァ・ブラウンの結婚。
4月30日、愛犬の毒殺、ヒトラー夫妻の自殺と死体の焼却。
5月1日、ソ連軍との停戦交渉の失敗。
ゲッベルス夫妻(夫人のマクダ役は コリンナ・ハルフォーフ)は子供たち6人を毒殺後自殺。
残された高官たちが自殺したり、地下壕を脱出しソ連軍に包囲後降伏したりする中、トラウドゥルは少年と包囲網をかいぐぐり脱出。
5月7日、ドイツ無条件降伏。
5月8日24時、全戦闘の終結を宣言
最後に、登場人物のその後の人生が説明される。
「戦時に市民など存在せん」
本編の前と後にトラウドゥル・ユンゲ本人のインタビュー映像が流れる。
総統ヒトラーを ブルーノ・ガンツが頑張って演じている一方、秘書役の アレクサンドラ・マリア・ララは美人なだけで"弱い"のが残念。
ヒトラーの描き方にヨーロッパで賛否両論があったようだが、それは当然のこと。
全体として監督の熱意が伝わる力作になっている。