まめまめちゃん

チェイサーのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
4.2
韓国映画としては観賞7〜8本目くらいだったのではないだろうか。
ナ・ホンジン監督作「哭声コクソン」を見て興味が湧き「哀しき獣」を見て監督にハマり、韓国映画のうち名作と言われる作品を10数本見た。その中の7〜8本目。
韓国映画はとにかく掴みが良い。
容赦ない。
時に救いようがない。
ストーリーを追って一気に最後まで観客を連れて行く力がある(ものが多い。ないのもフザけてるのもある)。

ナ・ホンジン監督作私的ラストが本作。
どこまで実話なのか。
恐ろしいほど警察が無能。
死んだ目をしたハ・ジョンウ。
追いかけるキム・ユンソク。
ソ・ヨンヒの運命は。

初見から2年経った今でも思い出す。
雨と石垣と泥と、タイルの床の血のり。
カメラが水槽へスーッと寄ったその時に、娘が帰ってきてPCを慌てて消したこと。

この救われなさは運命なのか。ほんの少しの時間差で陥る人の最期の数々。普通の明日を信じる気さえ、見てる側の脳内から徐々に失わせていく。
本作の様々なシーンが、何年経ってもニオイのような記憶と嫌悪感とともにまざまざと蘇る物語が私にはない。そんな作品にはなかなか出会えないと思い直してのこのスコアだ。
ナ・ホンジン監督をこれからも追い続けようと思う。