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チェイサーのHKのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
3.8
後に「哀しき獣」「コクソン」などの監督を務めるナ・ホンジンの長編デビュー作となる韓国のサスペンス映画。キャストはキム・ユンソク、ハ・ジョンウなど

デリバリーヘルスを経営する元刑事の男ジュンホ。しかしここ最近雇っているデリヘル嬢が失踪する事件が相次いで起こっていた。ジュンホは電話番号を手掛かりに二人が最後に仕事をした相手を突き止め、その男に自分が雇っているデリヘル嬢を赴かせる。しかし…

前半、殺人鬼の家に潜入するデリヘル嬢が追い詰められるまでの過程は流石サイコスリラー映画の基礎をしっかりと抑えていてとても怖かったです。携帯が圏外になったり、実は死体の髪の毛があったりなど、所々怖さを引き立てる要素をふんだんに組み込んでいて、見ているこっちもぞっとなった。

犯人は意外と早く捕まり拘留されるが、警察上層部の無能な判断により犯人は釈放、殴った主人公は逮捕されてしまう。

韓国映画の警察って本当に無能ですよね。無論警察が無能なのは世界共通かもしれませんが、韓国や日本などある程度メンツを大切にする国は市民に恥を晒さないためにとんでもない対応をすることもあります。この映画にもその片鱗が良く出ています。韓国のサスペンス映画では他にも「殺人の追憶」など田舎の警察の対応の悪さを露骨に浮彫にした映画がたくさんあります。
この映画もその類の一つということでしょうかね。

釈放するにしても、秘密裏にするのではなくちゃんと公表すればいいのに。結果的に助かってたかもしれないデリヘル嬢は最後の最後にやられちゃいます。しかし、あの人を匿っていた小売店のおばちゃんがああも都合よくべらべらしゃべっちゃうのはちょっと出来すぎに感じちゃいましたけどね。

そしてこの映画、終盤の展開などはほぼ「セブン」をパク・・・オマージュしていますね。あのフラッシュバックのサブリミナル演出もまんまセブン、女の人の生首が出るのもセブンリスペクトなのかね。それでも手法だけオマージュしているのでまだ良かったですね。

全体的にも、唾液とか血とか汚らしいものを画面に出す。これこそ韓国映画の醍醐味と言いますか、この映画もそのような汚らしいものをしっかりと出すところは出しているのである意味韓国映画としては好感が持てました。非情に良かったと思います。

韓国は金槌がお好き。オールドボーイしかりいろいろと多いですね。見れて良かったです。
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