回想シーンでご飯3杯いける

チェイサーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
4.0
後に怪作「哭声 コクソン」を手掛ける事になるナ・ホンジン監督による2008年の作品。こっちも凄いとは聞いていたけど、確かに凄いわ。

デリヘル嬢連続監禁殺人事件が題材で、元刑事で現風俗元締めの主人公とサイコパスな犯人によるスリリングなせめぎ合いが描かれている。

作品全体を支配する陰鬱な世界観からしてゾクゾクするのだが、犯人の凶器がノミと金槌っていうのがヤバい。実際にそれを使うシーンは僅かしかないのに、いや、僅かしかないから余計に、それをいつ使うの? 誰を殺すの? という嫌な予感が2時間ずっと継続する。更にその凶器にセックス絡みのメタファーも持ち込まれるのだが、これが恐怖感をより高める。

なかなか話の筋が見えてこない前半の不気味さ、それを更に増幅する雨の演出、無能な警察、所詮社会のクズだった主人公に芽生える内面の変化、、、、全てが作品を構成する要素としてぶれなく配置されている。

ハリウッド型の大味なアクションとは対極にある、正にノミと金槌のような重みを持つ、韓国胸糞バイオレンス映画ここにありという感じである。