Omizu

パリの恋人のOmizuのレビュー・感想・評価

パリの恋人(1957年製作の映画)
4.0
【第30回アカデミー賞 脚本賞他全4部門ノミネート】
『雨に唄えば』などのミュージカル映画の名手スタンリー・ドーネン監督作品。オードリー・ヘプバーン、フレッド・アステアが初のタッグを組んだミュージカルロマンス。

ストーリーはごくごく単純。『マイ・フェア・レディ』の簡略版といったところ。本屋の娘がひょんなことでモデルをすることになり、カメラマンの男と恋に落ちるという話。

その撮影でパリに行くことになるのだが、色とりどりの衣装とロマンティックなミュージカルナンバーが効いた小粋な作品になっている。

オードリーが身にまとう数々のドレスは素晴らしく、1950年代のパリファッションが楽しい。

アメリカとパリではトーンを使い分けていて何気に上手い。アメリカのポップで軽快なテンポ、対してパリではシックでロマンティックなトーンに分けている。

オードリーはそれほど歌が上手い訳では無いが、アステアとケイ・トンプソンとのダンスはイキイキとしておりよかった。

またアンダーグランドなクラブでのトンチキダンスもコメディエンヌとして輝いていてオードリーが楽しんでいるようだった。

なんてことないミュージカルではあるが、パリという舞台のおかげか、チャカチャカとしたハリウッド的テンポは鳴りを潜め、メリハリの効いた落ち着いたミュージカルになっている。

期待していなかったが、これはこれでなかなか素晴らしい大人のミュージカルだった。かなり好きかも。
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