Takaomi

パリの恋人のTakaomiのレビュー・感想・評価

パリの恋人(1957年製作の映画)
3.5
美しく輝く、オードリーヘップバーンをひたすら拝むための映画。

どんな挑戦であろうと、新しい場所、初めての愛、新たな世界の一ページを開いてゆく女性は儚くも美しく、希望にあふれる喜びやスマイルには言葉では表現できぬ輝きを秘めている。

見向きもされないただの石ころが少しずつ丁寧に磨かれることで、いつの日か光り輝くダイヤモンドとなることがいかに素晴らしいことなのか。

この主人公も決して目立つような存在ではないし、小さな世界で生きてきた本屋を手伝う夢みる女の子なんだけど、モデルの仕事を通して少しずつ大人の女性に成長していくのが見どころですね。

それにしてもこんなにも可愛い店員いるわけないでしょって思ってしまいましたが(笑)
宝石の原石は、こうも目立たないところに隠されているものなのですね。。φ(..)

オードリーヘップバーンにピュアな乙女役をやらせたら、右に出るものはいません。

そして、そんな少女がふとしたことで恋に落ちてしまうのです。
もう、目を覆いたくなるようなピュアで可憐な姿はくすぐったくなってくる。

ファニーフェイスのシーンとmusicが綺麗で愛しくて、そこだけ切り取って眠る前に何度もみたいです!!

教会と白鳥が泳ぐ池のほとりにオードリーのウエディングドレス姿が映えて心が浄化されていくほど癒されました。
好きなひととこうして踊れたら、なんてステキなことなんだろう。

共感主義にもどこか批判的でこれまでの時代は右にならえでこうでなければならない常識でファッションでさえも凝り固まっていたのだろう。
それは男と女の格差にも出ていたけれど、その人が持っている個性や多様性を大切にする風潮はこの時代から根付いていたんだなと感じた。

けれど最後まで生かしきれていなくて、中途半端だった。
そもそもモデル界や恋愛観で、この共感主義というものはある程度なくてはならないもので、少しずつそっちにシフトチェンジしてしまって果たして否定しているのか、肯定しているのかよくわからなくなっている。

ファニーフェイスというタイトルはオードリーの顔を表しているみたいだけど、
ありのままの素晴しさ、誰でも輝くことのできる自由さも表しているからひとつに詰め込みすぎたのかな。

それだったらモデル業界とは矛盾してしまうし、セレンディピティなロマンのある出会いやパリの良さをもっと引き出してほしかった。
ディックの魅力や肝心なミュージカルの曲も耳に残らなかったのでそこも残念。

それでもオードリーの貴重な歌、ダンス、ウエディングドレス姿を見られるのでそれだけでも大満足でした。

オードリーは良い意味で生活感を感じなくて、そこも含めてオシャレを堪能する作品だとおもいます。
Takaomi

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