たにたに

ターミナルのたにたにのレビュー・感想・評価

ターミナル(2004年製作の映画)
4.5
多くの国の様々な人種の人々が行き交う世界の窓口を、小さな小さな舞台と捉え、そこに集まっている他人が、ある時、1人の男によってファミリーのような集団へと変わる。


空港は、遠くへ旅立つ人との別れや、久々の再会、ワクワクとした旅路など様々なドラマが生まれる場所である。
ただ、不法移民や、薬物輸入など、取締りが厳しく行われる国と国の安全を守る荘厳さすら感じる場所ともいえる。

国の内乱、政治的な没落、国籍の問題など、ある1人の人物に対する卑しさとか偏見とかそう言ったものに、いかに人間が支配されているかを気づかされる。



始め、
主人公は訳のわからないことを発し、会話もできず、さらに人の空気を読めない、何かの障がい者なのかと勘違いするほどで、簡単に言うとやばいやつなのである。
言語の違いや、その国の当たり前を知らない私たちは、自分の物差しで他人を判断してしまう。


アメリカの航空から出られない彼を、ミスタービーンのようなコメディタッチで描きつつも、どうしてもニューヨークへ行きたい彼の目的の意味と、それを達成しようと試行錯誤する姿が徐々に可愛く見えて来る。

彼の才能と優しさに気づいた人々が一つのまとまりとなって、彼を応援し、助けようとする感動作品。



ただ、
ビクターという人間が、どういう人間か説明してくれ、と言われると大変困るのです。故郷と、父親がジャズファンということだけで、結局はよくわからない人なのです。

故郷の内乱を報道で見て、涙するシーンや、
それほどまでしてニューヨークへ行きたかった理由が、肩透かしというか、主人公の想いが伝わりづらい点から不思議な作品という印象に終わってしまった。
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